第9回上月情報教育賞 研究発表論文
Presented by ASK-NET
Oct. 26, 2001
 
研究題目
「教育コミュニティの創設・再生・発展を目指すASK-NETプロジェクト」
〜愛知私学教育ネットから愛知市民教育ネットへ〜
 
研究者名
愛知市民教育ネット(ASK-NET) 代表理事 毛受芳高
愛知学泉短期大学 講師(前 安城学園高等学校 教諭) 神谷良夫
 
要   約
 高度経済成長と共に、子どもの成長を見守る地域コミュニティの人のつながりは崩れ去り、今日の様々な教育問題の温床となっている。それに対し、愛知県の私学関係者による私学教育を守る運動は、25年以上の歳月をかけ、お祭りづくり等を通して、学校、家庭、地域社会を、学校を軸に有機的に結びつけ、地域の人のつながりを徐々に再構築してきた。そして、教育を軸とするコミュニティ、いわば「教育コミュニティ」を再生してきた。本研究は、この教育コミュニティ創設・再生・発展への運動に、インターネットという道具を増幅装置として活用し、これからの21世紀の教育コミュニティづくりにおける、IT、インターネットの利用方法を研究するものである。
 このASK-NETプロジェクトは'99年からスタートし、いくつかの成果を生み出してきたが、その成果は、大きく4つにまとめられる。1つは透明性で、この大きな運動の全体像や動きがリアルタイムに不特定多数の教育問題に関心のある人々に発信できた。2つ目はアクセスで、情報を透明化することにより、参加人数が増加するほか、私学関係者にとどまらない、幅広い層の市民が、この教育コミュニティに参画するようになった。3つ目は連続性をあげることができる。このコミュニティに参加してきた人々が、その後もネットでつながり続けることで、より広い時間軸のなかで、ルーキーからリーダーへと成長していき、新たな広がりをつくる仕組みを作り上げることができた。4つ目は、実社会とバーチャルを結びつける架け橋のサイトとなっている点である。
 現在は、このASK-NETを、私学だけでなく、興味ある方なら誰でも参加できる公の器となるため、名称も「愛知私学教育ネット」から「愛知市民教育ネット」と変え、NPO法人(特定非営利活動法人)申請を終えた。本論文では、これまでの成果をまとめるとともに、本研究の今後の方向性と計画を説明する。
 
 
目   次
1.教育再生のための愛知教育ヒューマンネットワーク
  1.1 急がれる教育コミュニティ再生
  1.2 教育コミュニティを再生していく愛知私学の教育づくり運動
 
2.愛知教育ヒューマンネットワークを構成する主な組織
  2.1 愛知県私立学校教職員組合連合(愛知私教連)
  2.2 私学をよくする愛知父母懇談会(愛知父母懇)
  2.3 愛知県高校生フェスティバル(高校生フェス)
 
3.愛知教育ヒューマンネットワークを構成するイベント
  3.1 地域別県民文化大祭典(オータムフェスティバル)
  3.2 愛知サマーセミナー
  3.3 授業改革フェスティバル
 
4.ASK-NETプロジェクト
  4.1 仮想現実という恐怖
  4.2 ASK-NET設立前夜
  4.3 ASK-NETプロジェクトの目的
  4.4 ASK-NETプロジェクトを支える人々
 
5.ASK-NETプロジェクトの1999〜2001年の成果
  5.1 愛知サマーセミナーのIT利用
    5.1.1 概要
    5.1.2 1999年〜2001年までのサマセミITシステムの改善の流れ
  5.2 オータムフェスティバルのウェブ化
  5.3 授業改革フェスティバルのウェブ化
  5.4 高校生フェスティバル実行委員会のウェブ化
  5.5 愛知父母懇談会のウェブ化
  5.6 これまでの成果のまとめ
  5.7 「情報教育」を後ろ支えするASK-NETプロジェクト
 
6.ASK-NETの今後の計画
  6.1 ASK-NETの課題
  6.2 ASK-NETが必要とされる状況
  6.3 ASK-NETの今後の具体的な実施内容と目標
  6.4 まとめ・参考文献
 
 
研究者勤務先
 毛受芳高:愛知県私立学校教職員組合連合 職員 (menjo@ask-net.org
 神谷良夫:愛知学泉短期大学 講師 (y-kamiya@tcp-ip.or.jp