第9回上月情報教育賞 研究論文
 
〜 教育コミュニティの創設・再生・発展を目指すASK-NETプロジェクト 〜
 
 
5.ASK-NETプロジェクトの1999〜2001年の成果
 5.1 愛知サマーセミナーのIT利用
  5.1.2 1999年〜2001年までのサマセミITシステムの改善の流れ
 このサマーセミナーのIT化は、第11回〜13回までの3回のシステム改善でひとつの完成といえる域まで到達している。以下にそのバージョンアップの履歴を述べる。
 
  <1999年 サマーセミナーホームページ元年>
 '99年時はASK-NETプロジェクトも、ウェブサイト構築未経験のところから学習をすることとともに、ドメインの取得から、サーバーの構築までを同時に行ったため、システムの全体の完成度としては、荒削りで不十分なものであった。しかし、講座のデータベース管理とインターネットで検索できるシステムなど基本的な部分は現在にも引き継がれる完成度の高いものとなった。講座登録の際に事務局スタッフですべてのデータ入力を行ったので、事務作業量は上がったが、講座検索、管理は劇的に改善し、ホームページで情報を発信したところ、全国から教育改革に関心ある市民が参加し、インターネットの威力を示す結果へとつながった。ただし、データ入稿プロセスの最適化が行えなかったため、印刷費のコスト削減にはつながらなかった。以下に具体的な成果をまとめる。
 
   ◎ 1999年の具体的な成果
 (1) 県外の遠隔地からの参加が増加した。北海道からの学生、東京、京都などから市民が主体的に参加した。参加した北海道の学生が、サマーセミナーのコンセプトを移植し、北海道ウィンターセミナー開催へとつなげた。
 (2) サマーセミナー講座のキーワードや日時による検索がホームページで可能となった。このことで、担任が学級通信などで、生徒に合わせて講座を紹介することが簡単になった。
 (3) サマーセミナーパンフレットには乗せられなかった情報が、リアルタイムで発信可能となった。
  例) ・実行委員の父母・生徒・先生のインタビュー記事
・サマーセミナーの講座の感想
・サマーセミナーの当日写真の公開
 (4) バナー広告による、企業からの広告協賛スペースを確保することができた。
 (5) 電子メールの口コミによる広報活動ができた。メールニュース・メーリングリストへの投稿などに口コミのメール作戦を行うことで、のべ1万5千人以上にサマーセミナーに関するメールを送った。
 
   ◎ 1999年の具体的な成果
「こんな、すごいページができてもう感動!しています。」(高校生)
「ホームページの検索と、講座資料の整理はすばらしい!! 作るにはかなりの時間と労力を費やしたのでしょうねえ・・・・。」(教師)
「再び東京に帰ってまいりました。初めて知ったのは教育関係のメーリングリスト内で情報をいただいたのがきっかけです。そのときすぐに、大勢の方々の漲るエネルギーや情熱を感じました。このような素晴らしい取り組みが、全国的に拡大されていくことを願ってやみません。」(市民)
 
  <2000年 サマーセミナーホームページ Ver.2>
 '99年度のシステム制作の反省をもとに、2000年のシステムを設計した。'99年は、講座のデータ入力を事務局で行ったため、事務局の負担感が増したが、2000年度はインターネットからの講座登録システムを実現し、登録用紙なしでも講師自身でインターネットから登録が可能としたため、多くの講師が各自で登録。事務局の負担は大幅に減った。また、インターネットを通して愛知県外からも講座を出展する人が現れた。また、印刷会社への講座データ入稿プロセスの最適化を行い、印刷コストを約25%圧縮した。そのため、'99年はほぼボランティアで開発したが、2000年はシステム開発費として削減された分の一部から確保でき、継続的にシステムを運用するための予算の枠組みをつくった。
 
   ◎ 2000年の具体的な成果のまとめ
 (1) インターネットから講座登録が可能となった。
 (2) 遠隔地から「講師として」参加する人が生まれ、また受講者として参加する人も昨年から引き続き増加した。北海道・東京・京都から学生、市民が参加した。
 (3) 講師への郵送の際に使う住所のタックシール印刷なども、システムに組み込み、講座管理、講師への情報の送付などの事務が低減した。
 (4) 印刷費をデータ入稿により25%、約250万円程度圧縮させた。
 (5) 検索システムを大幅に使いやすく改良した。キーワードで簡単に講座の検索が可能になった。'99年度も好評だったサマーセミナー講座検索は、昨年のシステムでの反省点をすべて改善し大幅にバージョンアップした。ボランティアのASK-NET技術担当者による、きめ細かい作りこみによって、表形式や一覧形式、出力件数、絞込み検索など自由自在に検索できるシステムとなった。
 
   ◎ 2000年に寄せられた感想より
「ASK-NETが作られたことによって各学校で案内用のチラシが作りやすくなったと思います。web上で検索して開催日時や講座の内容を使い回しして、簡単に作成することが出来ます。検索機能も高性能で相当早く見つけだします。この点は技術担当者のテクのすごさだと思います。(私はサマーセミナー参加当日、web上で教室を調べた上で参加しました)」(東海高、教員)
「今日『愛知サマーセミナー』のことをはじめて知り、その理念に大変共感を覚えました。将来、何らかの形で『教育改革』を行いたいと思っている私にとって、皆さんのような意識の高い方と触れ合うことは必ずいい体験になるに違いないと思います。きっと素晴らしい出逢いもあると確信しております。そこで、是非ともボランティアとして参加したいと考えているのですが可能でしょうか?」(京都大4年、学生)
「このイベントの有意義だなと思う点は、愛知県出身でもなく、教職員でもなく、知り合いがいるわけでもなく、ホームページで『出展したい』とアクセスするだけで参加できたという点です。他の出展者も、教師、親、生徒、まったく一般人、と様々なのです。これぞ究極の学校の姿ではないかと思うのです。」(東京から講師として参加した市民)
 
  <2001年 サマーセミナーホームページ Ver.3>
 2000年のサマーセミナーシステムで、サマーセミナー運営ITシステムの基本的な部分はほぼ完成したため、細かい部分での作り込みを進めた。暗号化技術を取り入れ、講座登録時に、住所などのプライバシー情報の漏洩を防止するほか、2000年度は、登録後の講座データの修正に事務局が追われたため、2001年度は、講座データを登録者がインターネットから行えるようにデータ修正ページを公開した。また、サマーセミナーの当日の様子を伝える速報に力を入れ、連日、メールニュースのほかに、サマーセミナー会場にて配布するサマセミニュースを発行した。
 
   ◎ 2001年の具体的な成果のまとめ
 (1) 講座登録時の暗号化技術の導入
 (2) 講座データ修正ページを公開
 (3) サマーセミナー速報体制の強化。サマーセミナーに参加したくても参加できなかった市民へ、ニュースを連日発行することで、コミュニティの一体感を継続させる効果がある。
 
   ◎ 2001年に寄せられた感想より
「昨年と今年は、ニュージーランドのシュタイナー学校で教育実習をしており、参加はできませんでしたけれども、いつもサマセミは『目が離せない』存在なのです。なぜだかお分かりになりますか? サマセミホームページや『夢の学校ニュース』や投稿記事を通じて、人々の情熱や熱気が、海を越え、時空を超え、ここまで(心まで)ちゃんと響いてくるからなんです。ふるさと愛知・東海の皆さんが、『街全体が一丸になって夢を現実にしていこう』『本当の学ぶ喜びを共に分かち合っていこう』とされている。それが現代のネットの力を通じて、その枝の先々まで伝わって、一葉の先端にいる私のところにも、ホットに届いてきていますよ・・・。心からありがとう。そして、お疲れさま。いつも南の空から応援しています。」(ニュージーランド在住、元サマセミ参加者)
「毎日のメール発行、刻々と変わるホームページ、どうすればそんな神業が可能なのか」(県外の市民)