第9回上月情報教育賞 研究論文
 
〜 教育コミュニティの創設・再生・発展を目指すASK-NETプロジェクト 〜
 
 
5.ASK-NETプロジェクトの1999〜2001年の成果
 5.1 愛知サマーセミナーのIT利用
  5.1.1 概要
 愛知サマーセミナーの「誰でも先生、誰でも生徒。教えたいことを教え、学びたいことを学ぶ」という学びの本質をとらえたコンセプトは、年を経るごとに多くの人々の共感をよび、講座数、参加者ともに増加し、第9回で571講座、20,460人。10周年記念となった第10回で851講座、37,130人となった。
 
年度 会場 講座数 のべ参加者数 主な特徴
1988 前身 婦人会館 8 180 『社会科セミナー』として開催
1989 第1回 市邨学園 72 4,411 多彩な講座
1990 第2回 名古屋大谷高校 123 6,798 サマーセミナー方式となる
1991 第3回 中京大付属高校 135 5,099 全国にも波及していく
1992 第4回 同朋高校 260 10,626 父母、市民の参加
1993 第5回 東邦高校 224 9,464 講座の質的深化。生徒講座増加
1994 第6回 淑徳高校 266 11,320 「授業の祭典」として定着
1995 第7回 高蔵高校 333 16,112 授業改革の牽引車として確立
1996 第8回 安城学園 406 16,239 市民講座の倍増
1997 第9回 東海女子高校 571 20,460 中学生参加。規模の飛躍的拡大
1998 第10回 桜丘学園 851 37,130 市民参加5000人以上
1999 第11回 東邦高校・淑徳高校 666 20,476 2校で行われるツインキャンパス方式
2000 第12回 同朋高校 880 25,000 「総合学習」の見本市
2001 第13回 椙山女学園 907 28,000 会場周辺地域と共同で開催
表1.愛知サマーセミナーの歴史
 
 サマーセミナーが広がることは、教育における「学びのおもしろさ」を再生することにつながり、教育改革を広げていくエネルギーになる。よって、規模の拡大は喜ぶべきことであるが、講座数が増えれば増えるほど、ページ数、文字数とも増加することで講座内容をまとめたパンフレットの印刷費は高騰し、同時に、自分が受けたい講座を探し出すことが難しくなってきた。また、サマーセミナーの事務を担当する教員、父母らの負担も紙ベースのやり方では膨大となり、第10回の時点で仕組みは行き詰まりを迎えた。
 
 ASK-NETプロジェクトは、このジレンマを解決する方法としてIT化が最適であると考え、まずは、サマーセミナーのIT化に着手した。今までの紙ベースでの講座管理から脱却し、データベースによる講座管理を'99年より導入。2000年、2001年と2回のバージョンアップを重ねて、現在は、講座入力から講座訂正、検索まですべてインターネット上から可能となった。印刷費も、データ入稿プロセスを印刷会社の競争入札などを行い最適化することで圧縮し、ウェブ制作費を含めても印刷費は約10%コスト削減された。また、これまでは発信されなかった感想や当日の様子もホームページ上に公開されたため、透明性が高まり、県内、県外からも関心ある市民の幅広い参加が得られ、まさに「市民の学びの祭典」といえるイベントになった。このサマーセミナーのIT化は、ASK-NETプロジェクトを象徴する成果を生みだしたといえるだろう。