第9回上月情報教育賞 研究論文
 
〜 教育コミュニティの創設・再生・発展を目指すASK-NETプロジェクト 〜
 
 
6.ASK-NETの今後の計画 〜愛知私学教育ネットから愛知市民教育ネットへ〜
 ASK-NETプロジェクトが立ち上がり、丸2年がたった。これまで述べたように、愛知私学を中心とする教育運動にインターネットを導入することで、コミュニティの透明性が高まり、私学だけでない、市民の教育改革運動として広がりをみせた。そして、ITを利用することで、教育を中心にして広がるコミュニティ「教育コミュニティ」の創設、再生、発展へとつながる確信を、スタッフたちに与えた。
 そこで、これまでは「ASK-NET=愛知私学教育ネット」という名前でプロジェクトを進めてきたが、より市民が参加しやすく、継続的に発展する組織作りをめざし、「愛知市民教育ネット」と改称、特定非営利活動法人(NPO法人)としての組織体制を整備し、2001年6月17日設立総会を開催。同28日に愛知県にNPO法人格取得の申請を終了した。遅くとも10月末までに認証が受けられる予定である。認証されれば、教育づくりに主体的になる市民の受け皿として、この教育運動に新しい法人が生まれることになる。(2001年10月12日法人格取得、同月24日法人登記完了。)
 ここで、ASK-NETとは何か。もう一度原点に戻り再確認をすると同時に、今後の事業展開を提案する。
 
 6.1 ASK-NETの課題
 ASK-NETは、生徒、父母、教師はもちろん、地域に住む市民のネットワークづくり、誰もが教育づくりに主体的に参画できる「市民参加の教育づくり」を推進し、それにより社会利益の増進に寄与することを目標としている。NPO法上の推進していく活動として、(1)子どもの健全育成を図る活動、(2)まちづくりの推進を図る活動、(3)社会教育の推進を図る活動、の3つをあげた。
(1)  子どもの健全育成を図る活動は、教育の重要な現場である学校を中心とした子どもの教育に関わる諸問題に関する活動である。「学びデータベース」を中心に、市民講師・総合学習・体験学習に関する情報を発信し、また実践を支援する。
(2)  まちづくりの推進を図る活動は、子どもの活動の場を「閉ざされた」学校環境にとどめることなく広げていくために不可欠な活動である。地域の祭は子どもたちにとって異なった世代の市民と関係をつくることができる貴重な学びの場である。また、子どもに情報を提供し参加を促すことで、祭りを活性化することを図る。
(3)  社会教育の推進を図る活動は、子どもを含むあらゆる世代の市民の自己実現への要望に適うことができる。愛知サマーセミナーをはじめ、市民が参加できる教育の機会をつくる、または教育の場を提供する他団体を支援する。
 以上3つの活動をあげたが、これらは「(1)子どもの健全育成を図る」ことに帰着する。なぜならば、「教育」、「人づくり」は、地域に住む者すべてが取り組むべき課題であり、周辺環境は子どもの教育にもっとも大きな影響を与えるもののひとつだからである。そして、社会教育活動は大人のための活動であると同時に、そうした大人を見て育つ子どもに有益であることは言うまでもない。健全な世代間交流の場を造り出すことで、「イキイキした大人がイキイキした子どもをつくる」のである。