目次/はじめに/何を目指したか/機器構成/校内情報化/実践(プロジェクト)/成果と課題/最後に 次へ
(1)米作りプロジェクト(平成11,12,13年度) 総合的学習の時間・社会科・行事
田んぼ(20アール)を借用し、5年生を中心に、無農薬、有機栽培を実施する。堆肥を入れる作業から始め、育苗、田植え、水管理、収穫、精米、販売、収益金の処理と、地域の指導者、祖父母に教えを請いながら計画を進めます。以下が年次計画であり、活動の過程で有効に情報機器を活用している。(写真は、米と礼状、炊き方、郵便振替用紙を入れ、消費者に宅急便で発送している)
1月 農事計画作成 指導者と4年生で農事計画を作成する。
2月 肥料入れ 近くの酪農家から堆肥をもらい、田んぼに入れる。(4年生)
4月 ・代かき 機械作業を見学(乗車体験) (5年生−学年が上がる)
・種まき 育苗箱に土(5年生)を入れ、種をまく(全児童)
・育 苗 簡易プール式苗代を作り、水管理を行う(5年生)
5月 田植え (指導者・全児童・職員・祖父母)
6月 水管理・追肥・除草 (5年生)
7〜8月 水管理・除草 (5年生)
9月 ・稲刈り 鎌を使って借り入れ。(指導者・全児童・職員・祖父母)
・脱穀、籾すり、精米 機械で行う。(5年生)
10月・販売 市場調査を行い、値段を付け、インターネットや地域に知らせ、販売する。(5年生)
・会計処理 肥料代、種籾、機械使用料など諸経費を支払い、収益金で事業を計画、実施する。(5年生)
・感謝の集い(米作り作業を応援してくれた方に感謝するパーティ−主催 5年生)
11月 もちつき大会 計画・実施 (父母、祖父母、全児童、指導者、職員)
12月〜翌年3月
・事業の実施(5年生が計画し、実施する事業になるが、論文作成時点では未定である。事業の候補に、卒業生を送る会を兼ねた全校遠足があげられている。準備、外部のとの交渉、会計処理など全てを児童が自らの考えで行うことができるようにしている。)
・事業報告、会計報告(5年生)
以上のような経過をたどり、プロジェクトが進むのであるが、過程で、一人一人のホームページの活用やメールでのやりとりが頻繁に行われる。農業長のページには、「米作り」に関わるたくさんの情報が蓄積される。以下、情報環境がどのように活用されているかを述べたい。
ア 稲の成長の記録(米日記)
デジタルカメラで稲の様子を撮影し、丈を計り、気づいたことをメモする。交代で、毎日記録した。経過は、本校のホームページに載せられている。米日記は、日直制で、デジタルカメラで田んぼの様子、稲の生長の様子を記録し、ホームページ作成ソフトを使い、写真を取り入れ、コメントをつけ、アップしている。種まきから始まり、育苗、田植え、草取り、水管理、稲刈り、脱穀、乾燥、籾すり、精米、販売まで、一連の活動を記録している。種まき、プール苗代作りなどの作業の様子はビデオ撮影され、担当の子どもによってビデオキャプチャーされ、「米日記」から見られるようになっている。
子ども達は、ビデオ撮影、ビデオキャプチャー、コメントを入れる作業、ホームページとの リンクなどの技術を使い、米日記を仕上げている。
イ 進捗(しんちょく)状況が農業長の個人のページに
米作りは、農業長が中心になり進められる。農業長は米作りプロジェクト全てを管理する立 場にあり、進行状況を自分のページに載せている。十分とは言えないが、農業長のページを見 ることで、進行状況を確認し、見通しが持てるようになっている。
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ウ 米の販売
収穫した米を販売し、収益を自分たちで利用し、事業を実施する。収益金の管理は全て児童に任せられている。手始めとして売り出し価格を決定し、販売方法を考えなければならない。 米の販売は以下のように進められた。インターネット、ホームページ作成技術が生かされている。
(ア) 市場調査 インターネットから、検索し、取引価格を調べる。検索で、有機米、無農薬米、ゆめつくし(銘柄)などを検索語にして調べていくと、有機栽培、無農薬栽培というだけでかなり高額な価格が設定され、売り上げも多いことが分かった。また、地域のスーパーや米屋さんの販売価格を電話で調査し参考にした。 |
(イ) 価格の設定 収穫量(ユメツクシ300kg、マンゲツモチ250kg)と売り上げ目標額、市場調査を元に価格を決定する。 |
(ウ) 販売 インターネット、口コミによる販売を進めた。価格を表示したチラシを作り配布、本校のホームページに販売の欄を設け、購入、支払い方法を明記し、売り出した。メールで申し込みを受け付け、支払いは郵便振替で行うことにした。(ホームページからの申し込み書記入を計画したが、技術が及ばなかった。) ※本年度は、朝日小学生新聞で記事にしてもらったので、売り出し日の朝から注文のメールが殺到する状態になってしまい、5年生は朝から、メールへの対応に追われる始末だった。その日の夕方にメールが50通を越えた時点で、「完売」の表示をホームページに出した。 |
(エ) 申し込みの処理 注文の量を合計すると収穫した米を大幅に上回ってしまうので、処理について販売担当の子どもが話し合い、注文を受けた全ての人に販売するために注文量を少なくしてもらうことにした。早速、メールで申込者全員に連絡を取り、了承を得ながら販売する米の量を訂正していった。どうにか、数日かかって調整をすることができた。 |
(オ) 発送 宅急便を利用することになり、注文量分を計量し、箱に、メッセージと米作りをまとめたビデオ、振替用紙を入れ、発送した。配達状況は、宅急便の会社のホームページから、追跡した。(宅急便の発送伝票に書かれた番号を入力すると、どこまで荷物が届けられているのかが分かるようなサービスをしている)(写真は、米を箱詰めし、宅急便で発送している場面) |
(カ) エクセルでの顧客管理 表計算ソフトエクセルを使い、顧客名、メールアドレス、住所、購入量、請求金額、発送処理、受け取りを管理した。売り上げの状況も把握できるようになっており、手作業による間違いを防ぐこともできた。 |
エ 米作り報告会(とどけ新東米)
父母、参観の教師(町内の研究発表会が開かれ、授業公開となった)に対して、米作りの様子を報告し、質疑を受けた。子どものホームページ、パワーポイントが利用され、米作りの過程、自分たちの行った活動を紹介した。
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