目次はじめに何を目指したか機器構成校内情報化実践(プロジェクト)成果と課題最後に 次へ

1 はじめに

 本校では、5年生が米作りで生産した米をインターネットを通して売り出している。今回は、朝日小学生新聞が取り上げてくれたこともあり、売り出し日を新聞で知った人からのメールが殺到し、担当の5年生は、一日中メールへの対応に追われていた。
 朝日小学生新聞の読者は小学生と主に母親である。新聞の一面に、「新東小学校で米を売り出す、無農薬有機栽培で小学5年生が作った、注文はメールで」と掲載された本校の記事を読んだ小学生が父母に相談し、購入許可を得、自宅のパソコンから本校宛にメールを打った。米を注文するメールのうち、3分の1は子ども自身が打っていることに、情報化社会の急速な到来を知らされることとなった。朝、7時頃から入り始めたメールは、半日後には50通を越えて、注文に応ぜられる限界を超えたため、「完売」の掲示と注文へのお礼をホームページに出してその場をしのいだ。

 情報化社会が進展し、学校もそれに対応しなければならないと言われ続けているが、今回のメール騒動は、子どもの世界にこんなにも早く情報化社会が現実化している実態を知らされ、学校での情報化教育が後追い作業になっているのではないかという懸念に覆われてしまった。
 高度情報化社会はインターネットを中心に急激な発展を示している。Webページは劇的に数を増し、個人でページを開設する人も急激に増えている。ホームページには、自ら作り出した情報、集められた情報がWebマスターにより効果的に構成され、情報発信されている。ページにはリンク集が設置され、関連する多くのサイトにつながり、更に、興味ある情報、広く、深い情報の取得が可能になるよう構成されている。ホームページの作成者は、考えや主張、集められた情報を利用し、更に公開することによって、知識を共有し高めていこうという動きをしている。そのようなホームページが無限につながっているのが、インターネットの世界である。このようなインターネットの世界を校内に持とうというのが我が校の構想である。

 当初、子どもが利用できる情報を用意するという考えで、インターネットのリンク集やビデオ、音声情報などの蓄積を進め、子どもたちが学習に利用できる環境を作ろうとしてきたが、自らの考えで情報を構成し、発信する場は考えていなかった。子どもの成長過程を見ると、子どもは自分の好きな友達を求め、自分の趣味に合う図書を揃えながら成長している。つまり、自分のための環境を構築しながら成長しているのである。この点を重要視し、子ども自らが、自分の情報環境を創るという発想に至った。その手段が、一人一人のホームページである。インターネットが進展し、文字情報を取得するだけでも多くの本棚が必要だった時代から、パソコン1台とインターネットの環境があれば、膨大な情報を蓄積できる情報化の時代になった。ホームページに文字・音声・画像・映像を入れ、世界の中から選択したWebページをリンクすることで自分の情報環境を構築することが出来るようになったのである。基本的なホームページ作成技術さえ、修得すれば子どもでも膨大な情報の中から自分のための情報を選択しながら、自分のページ創りを始めることが出来るのである。創り上げた情報環境は更に深く、広く、膨らませながら、生涯持ち続けることが出来るものであり、情報化社会では個人の代名詞となり得る。