一般財団法人上月財団
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第4回上月情報教育研究助成 論文要約


インターネット導入時に当面する問題とその解決方法の研究
〜 コラボレ-ション授業を通じて 〜



長谷川 元洋   井戸坂 幸男

三重大学教育学部附属中学校


 本研究のスタートに先立ち、審査員の先生方から、「しっかりとしたテーマ課題を持って取り組み、その中で情報モラルや問題点を扱うべきである」という助言をいただいた。そこで、次の実践を行い、その中から、問題点を見つけだすと同時に解決方法を探ることにした。

  1. 技術家庭科で行っているプログラミングの授業に電子メールを活用し、プロのプログラマーとの交流や作品の紹介をする。
  2. 学校行事などでの体験をホームページにまとめ、発信する。
  3. 技術家庭科情報基礎でホームページ作りの授業をする。
  4. クラブ活動においてインターネットを利用する。

 これらの実践の中から、それぞれのテーマへの取り組みの中でインターネットを利用して、外部に自分たちの活動を伝えたり、電子メールで感想やアドバイスをもらうことで、生徒は意欲的こ取り組む姿が見られた。また、自分の考えを発信したり、相手を理解しようとするなど、コミュニケーションの力を養うのに、非常に有効な手だてであることがわかった。

 しかし、ページ公開の中でいくつかの問題がでてきた。一番大きな問題は生徒の作品の著作権と個人が特定できる写真の肖像権の扱いであった。そこで、まず、生徒が作成したページは非公開扱いとし、公開に際して、想定される事態を考慮したインターネット利用の規定を作成し、実践を進めながら、問題解決にあたることにした。

 この件に関し、保護者にアンケートをとると同時に全国の学校の状況、海外の学校の状況、新聞社、テレビ局の肖像権の扱いについて調査を行うと同時に法律の専門家にも、助言を仰いだ。その結果、インターネット利用について、保護者の理解を得ることが大切であるという助言をいただき、保護者から理解を得る努力を進めることにした。

 これまでの取り組みで、次のことがわかってきた。

  1. 新聞テレビなど不特定多数を対象として、情報発信しているマスメディアと学校のホームページは社会的な役割、認識が全く違うため、情報発信について、同様に考えることはできない。

  2. 保護者はインターネットにより、学校と社会を結ぶ際の危険性について、不安を持っている。インターネットにより、学校と社会を結ぶ実践について、保護者の不安を一つ一つ取り除きながら、共通理解を図っていくことが大切である。

  3. インターネットにより、学校の内部どうしを結ぶ実践においては、保護者の不安は少ない。

  4. インターネットの利点を最大限生かす教育実践を実現するためには 3.の範囲の実践から始め、実践と検証を繰り返しながら、ノウハウを蓄積していくと同時にそれが保護者に伝わるような努力を重ねることが大切である。

  5. インターネットの利用の目的をはっきりと持ち、その目的にあった情報マネージメントをしっかりとすることが理解を得る上で大切である。

  6. 職員、保護者ともに共通理解を図りながら進めることは、本当にインターネットの利用を学校に定着させる上でとても、大切である。

  7. 設備の運用面での体制を整えることが実践の継続、発展の基盤となる。

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コンピュータを採り入れた保育環境の構築
〜 自ら遊びを創り遊びを広げる保育 〜



揖保川町幼稚園コンピュータ利用保育研究推進委員会
代表者(園長) 福井まり子

平成8年度
福井まり子  上田 智昭  山口さとみ  尾野真知子  淀澤 郁代

平成9年度
永井 和代  井口貴久美  淀澤 郁代  河原 美樹

兵庫県揖保川町立半田幼稚園


 現在、幼稚園教育においては子どもの実態に基づいた環境を創りだし、その環境の中で幼児が自由に自分の思いを発揮して生活し、望ましい方向へ発達を促すようにすること、つまり、「環境を通して行なう教育」が基本とされている。

 ここでいわれている「環境」は幼児をとりまく全てであり、自然環境、物的環境、人的環境などいろいろな環境があると考えられる。

 その中の物的環境の一つがコンピュータであり、こちらからの働きかけに対して反応を示したり、画面上に絵を描いたりする機能を持っている。加えて、画像、音声、動画を総合的に扱うことができるものであり、双方向性を持ったコミュニケーション活動ができるものであると言えよう。

 また、清水克彦先生(国立教育研究所主任研究員)の「新しい教育のもしくは学習の道具の出現が、教育の考え方を規定したり、新しい教育の考え方を生んだりする」ということばを借りると、幼稚園教育においては「新しい保育のもしくは遊びの道具の出現が、保育の考え方を規定したり、新しい保育の考え方を生んだりする」と言い換えられよう。

 これらのことから、保育をより充実させる物的な環境の一つとしてコンピュータが有効であると考え、実践研究を行なった。

 平成8年度、平成9年度の研究では、子どもたちの実態を見つめ、子どもたちに育てたいものを組み込んだソフトを作り、それを与えることによる生活の高まりを目指した。


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情報化に対応する高校数学の学習指導法の研究


代 表 植松 嘉夫 東京都立淵江高等学校
吉田 章司 埼玉県立上尾高等学校
永島 勇治 埼玉県立伊奈学園総合高等学校
斉藤 英雄 埼玉県立大宮中央高等学校  
佐藤 隆久 埼玉県立蓮田高等学校
助言者 町田彰一郎 埼玉大学教育学部数学教育講座


 教育課程審議会は平成9年11月の中間まとめで、週休5日制に対応した教育課程案を提示した。これは児童・生徒にこれからの変容する社会に「生きる力」を求めるために、ゆとりを作りだし、地域・家庭・学校の連携の中で主体的な学習態度を育成することを求めるものであった。このため現在作業が進行中の新教育課程案では、学校における授業時間数を現在よりかなり縮減する事になった。このままでは、日本の教育水準の低下を招いたり、生徒の学力差を今以上に拡大する恐れが出てきた。

 そこで、少ない授業時数でも多様な個性の生徒に対応し、生徒の主体的・自立的な学習を実現させるため、ハイパーテキストで教材を作成し、指導方法とともにCD-ROM上にデ−タべ−ス化する研究を進めた。生徒が興味を持つ教材として、高校数学Aの「数列」単元の発展にあるフイボナッチ数列を取りあげた。1例をあげれば、次のような授業展開である。

 班別の課題学習では、フイボナッチのうさぎの問題や階段の問題など5つの課題同じシチュエーションにして与えて学習させ、班ごとに発表させ意見交換させたあと教師がフイボナッチ数列についてまとめる。そして、今度は各班ごとにフイボナッチ数列になっている事例を持ち寄り、それらを互いに交換してさらに学習を続ける。

 このようなハイパーメディア教材は、関連する事項に直ぐにリンクでき、疑問に思ったことや調べたいことをその場で調べられる。これは学習者の学習意欲を大いに喚起するものである。これらにより、生徒が主体的・意欲的に学ぶ姿を授業の中心に据える指導が可能である。

 CD-ROMやCD-RWが廉価になり、また学校現場でもインターネットが普及しつつあるので教材と指導法のハイパーテキストによるデータベース化が生徒の主体的な学習の支援に広く利用できると考えている。


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コンピュータを適切な情報手段として仕組んだ理科の課題学習のモジュール化
〜 理科の課題学習を通し、「情報活用能力」を育成する実践的研究 〜



倉敷市中学校理科の会

代表 佐々木 弘記

岡山県倉敷市立南中学校


 本研究は、課題学習の追究の過程に、コンピュータを適切な情報手段として活用できるような学習活動を仕組み、その課題学習で用いる指導案や教材・教具などをモジュール化して授業で実践することを目的とする。そこで、まず第一に、課題学習についてその理論を概括し、これまでの実践を見直した。その結果、本研究で取り組む課題学習は、課題選択学習とし、1〜3時間程度で解決可能な課題を準備すること、また、課題学習に必要な指導案や教材・教具などをモジュール化して、メンバー間で貸し借りし、協力しあうことにした。次に、情報活用能力について概括し、情報活用能力を育成するためにはどのように課題学習にコンピュータを仕組めばよいか検討した。その結果、文部省の「情報教育の手引き」に示された「情報の判断、選択、整理、処理能力及び新たに情報の創造、伝達能力」の育成と関連が強い5つの学習活動を課題学習に仕組むことにした。それぞれの学習活動で1つずつの課題学習をデザインし、指導案や教材・教具などをモジュール化した。そして、最後にデザインした課題学習の授業実践を行った。


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子どもの主体的な情報活用を支援するコンピューター利用
〜 情報メディアを使って主体的に学ぶ児童の育成をめざして 〜



半田小学校情報教育推進委員会

代表(校長) 島津 敦省

兵庫県揖保川町立半田小学校


 本校の教育目標は「生きる力と豊かな心を持ち、未来に輝く児童の育成」である。

 今、教育がめざしているものは、子どもたちがこれからの時代において、社会の激しい変化に主体的に対応して生きていくために必要な、自ら学ぶ意欲や判断力、自己表現力等の資質や能力の育成であると考える。

 つまり、自分で課題を見つけ、主体的に解決していくために、子ども自身に判断基準を持たせながら、自ら考え、行動させていくことが重要である。

 そこで、子どもたちの情報活用能力を高めるために、校内コンピューターネットワークを構築し、情報が共有できる環境を整えてきた。また、インターネットを中心とした情報メディアを活用し、より主体的な学習を支援できる環境も整えてきた。

 しかし、こうした環境は、従来の知識蓄積・受動的・受信的な学習スタイルでは、有効に働かない。

 自らが課題を持ち、意欲的に追求していく教育内容を創造し、能動的で発信・活動型の学習内容こそが、さらにコンピューターをはじめとする情報メディア活用の可能性を広げるだけでなく、子どもたちの主体的な情報活用能力を高めていくものと考え、社会科を中心として実践を積み重ねてきた。


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