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第3回上月情報教育研究助成 論文要約


映像リテラシーを育成するためのメディアタイムの実践


丸岡中学校ニューメディア教育活用研究会

高橋 賢哉

福井県丸岡町立丸岡中学校


 高度情報通信社会、マルチメディア時代と言われる中で、現代の中学生は情報の渦に巻き込まれている。近年のインターネットの隆盛、デジタル衛星放送の拡大などは、そのような状況を端的に象徴するものであろう。21世紀を生きる彼らが、様々なメディアから流れてくる膨大な量の情報の中から、必要な情報を有効に活用し、新たな情報の発信者となる能力を身につけることは、不可欠である。

 日進月歩で進化するメディアの中でも映像メディアの変化は著しく、デジタル衛星放送やCATVの普及などによる多チャンネル化は、視聴者が映像情報を主体的に選択することを可能とし、ビデオカメラ、デジタルカメラ、家庭用編集機などの普及は、我々が自ら映像を制作し、編集することを可能にした。つまり、映像情報メディアがパーソナル化し、映像情報が我々の日常生活により深く関わるようになってきたのである。

 このような映像情報メディアのパーソナル化が進む中で、氾濫する多くの情報を受け身的に視聴するだけでなく、積極的な視聴をすると同時に、情報の送り手になり、効果的に情報を発信する方法、受け手に正確に伝えるための情報の作り方、利用するメディアの特性などを知る必要がある。つまり、メディアリテラシー、とりわけ映像リテラシーの獲得が不可欠になってくると思われる。

 私たち研究グループは、学校教育における情報活用能力の育成は教科指導の中だけでは不十分であると考えた。特にメディアリテラシーの育成を効率的におこなうためには、時間を特設して実施する必要があると考えたのである。今までに、中学校において、全校体制でメディアリテラシー育成の時間を年間計画の中に位置づけている実践例は少ない。学校5日制が始まり、教育活動の精選が求められる中で、全校体制でメディアリテラシーの育成を計画的に実践することは難しいのだろうか。私たちは時代の要請の中、その可能性を追求することにしたのである。私たちは、そのために「ゆとり」の時間を利用して全校でメディアリテラシーの育成を図ることにした。この時間を「メディアタイム」と名付け、実践をおこなった。

 本稿は平成8年度から平成9年度にかけての実践をまとめたものである。


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全日制普通科における情報教育支援ソフトウェアの開発及び実践
(理科〔生物分野〕)



泉 伸一 兵庫県立神戸高塚高等学校
岡田 勝 兵庫県立伊川谷北高等学校


 生物の授業では生徒の五感で捉えた体験と教科書で学んだ知識を総合させることが必要である。今回は、植物の相観(外側から眺めた植物の様相=気候区分)を生徒自らの体験と写真記録から理解することを目的として行った。また、理解したことをプレゼンテーションすることによって、より深く理解でき、これからの生徒に必要なプレゼンテーションの能力を養うことができる。写真記録を使うことは自分で情報を集め、整理し それをもとに考えるという過程を経るので、情報教育としての意味が大きい。

 また、日常の授業で自作したCD-ROMからの多量の映像情報を利用し、実物に近い資料を提示することで、質の高い授業内容を実現するための研究として位置付け、実践した。さらに、構築されたCD-ROMのデータをデータベースとして有効利用するためのソフトウェアの開発を行なった。このソフトウェアはPDSで配布し、広く利用できるように考えている。

 今回の研究では実際には生物の生態系の学習に利用できるCD-ROMを作り上げることを目標とした。生態系の学習では、生徒自らの「体験」と多くの「映像資料」=CD-ROMを利用することで、その生態系についてより深く理解できると考え、実践研究を行った。


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ザ・サウンズ・アンド・シンボルズを主とした
シンボル・コミュニケーションを用いた学校教育場面での教授
〜 学習活動におけるコミュニケーションの援助 〜



中原 正治

徳島県立阿南工業高等学校


 重度脳性マヒ児の場合、その障害のために教育場面や生活場面で一般的なコミュニケーションが取れないために学習活動に参加できないだけでなく、生活場面での経験不足を招き、二次的な学習障害を生じている。そのため、近年、重度脳性マヒ児のコミュニケーション援助の教育システムとして、シンボルを利用したザ・サウンズ・アンド・シンボルズが注目を集めている。

 ザ・サウンズ・アンド・シンボルズの学習への利用のための教材開発を行い、教材とコミュニケーション・エイドを同じ環境の中で教育活動の場面で利用できるようにする。

 このことで、障害のために、学習活動に参加できず二次的に学習障害になっている脳性マヒ児が標準的な学校カリキュラムを履修できる条件を作ることができると考えている。

 黒板のかわりとしてパソコンを利用し、その状況の中でザ・サウンズ・アンド・シンボルズを中心としたシンボル・コミュニケーションが、教師と生徒の間でコミュニケーション・エイドとして利用できる教育環境を作り、実際の利用の中での課題を検討できた。

 ザ・サウンズ・アンド・シンボルズのシンボルを使って、パソコン間のネットワーク環境でシンボルのやり取りをすることができた。ザ・サウンズ・アンド・シンボルズのシンボルによるパソコン通信を行うまではできなかった。

 キッドピックス、ハイパーカード、キューティーマスコットをべ一スとしたザ・サウンズ・アンド・シンボルズシンボルの教材とコミュニケーショシ援助用の作品の制作をおこない、子どものコミュニケーションの経験を広げるとともに技量や意欲を高めることができた。


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