一般財団法人上月財団
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第2回上月情報教育研究助成 論文要約


視覚障害者の情報教育を支援する環境整備の研究
〜 音声機能の有効利用に関する研究 〜



  代 表 岡田 俊一 兵庫県立兵庫工業高等学校  
    佐藤 勝彦 兵庫県尼崎市立尼崎東高等学校  
  助言者 原  克彦 兵庫県園田学園女子短期大学  


 教育工学の分野では、高等学枚の普通科教育に関わっている側からの視覚障害教育との交流があまり見られなかった。今回、盲学枚での機器の利用状況や視覚障害者の社会教育の視点からどのように使用されているのか、現状の聞き取り調査を行いその問題点を整理した。

 その上に立って、現状に合わせた機器利用について考えた。最近はWindows化が、進みそれまで主流であったDOS環境が閉じられた世界になっている。Windows用の音声ソフトを、より視覚障害者に使い易くするための「つなぎのソフト」を考え、ノートパソコンで手軽に出先で、音声機能が使える方法に取り組んだ。


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視覚障害を支援するパーソナルコンピュータの活用に関する研究
〜 マルチメディアシステムの構築とその効果的活用を目指して 〜



金森 裕治

大阪府立盲学校


 一般の情報のほとんどは、視覚情報であるため、視覚障害は情報障害につながりやすい状況の中で、電子情報を自由に加工できるコンピュータは、障害補償の上から欠かせないものであると言えよう。

 視覚障害者にとって「歩行」及び「文字の読み書き」に関する問題は、最大の課題であると言われている。しかし、盲学校で使用されている教材の現状を述べると、理解しやすい教材は種類も数も少なく、特に盲生徒用の点訳本の体積と重量は、膨大であり、しかも高価なため蔵書の購入と管理に困難を極めている。その上、点字教材の作成には労力、費用、期間など解決しなければならない課題がかなりある。

 そこで、簡易教材作成システムを構築し、光学式文字読み取り装置を利用し、入力の省力化を図り、活字OCRソフトウェアによる効率的な教材作りを目指した。特に、このソフトで変換されたテキストファイルを自動点訳ソフトを使用し、点字教材不足の解消に努めた。

 また、質・量的に充実している電子ブックメディアを有効に活用するため電子ブックドライブとパソコンを接続し、(1)拡大表示による弱視者対応、(2)合成音声の読み上げ及び点字出力などによる全盲者対応を行い、電子ファイルの2次利用を図った。

 更に、「パソコン通信」や「てんやく広場」を利用することにより、情報に積極的に働きかけ、選択し、加工する力を伸ばし、高度情報化社会への適応と情報障害の克服及び情報活用能力の育成に努め、視覚障害者の社会自立・社会参加及び新職域の開拓に取り組んでいる。


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コンピュータ活用の表現活動によって展開される社会科学習の試み
〜 マルチメディア表現手法による作品づくり、プレゼンテーションによる学習展開 〜



徳岡 努

神戸国際中学校・高等学校


 高度情報化社会の進展のなかで、新しい学力観とそれに基づいた新学習指導要領の目指す理念は、将来において期待される人間像を実現する教育への一つの提言である。この理念をうけて、私自身も現在、個性化や学び方の学習の視点を活かす授業づくりを大きな課題として取り組んでいる。この課題実現にはもちろんさまざまな方法が考えられるだろうが、私は、コンピュータ・テクノロジーによって可能となったマルチメディアやネットワークを活用した生徒の主体的な学習活動のなかに、こうした課題実現の一つの可能性を発見したいと考えるようになった。そのために、特に、マルチメディア技術によって大きな可能性が見えてきたさまざまな表現効果を活用して、問題解決や発見を支援する学習方略、さらには生徒自らが主体的にこの技術を表現技法として活用して学習内容を作品としてまとめていく創作的学習方略とプレゼンテーションを用いた学習を構想した。また、この学習方略においては、その方略を支援するノウハウなどをプログラムとして埋め込んだ支援教材を開発して、学習の一層の進展をめざした。さらには、コンピュータ活用のみならず、この方略を効果的にするために発見学習的授業やフィールドワーク、グループ学習などもこの学習活動に組みこんだ。

 本研究は、以上の学習構想の下で、1994年度と1995年度の2年間にわたり実践した中学1年生・2年生の地理学習に対する学習計画や具体的授業展開事例、支援教材構造概要、そしてこうした学習過程を経て完成したユニークな作品事例などの報告と考察をまとめたものである。


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創造性に富む情報技術教育の展開について
〜 情報処理実習教材の開発及びその活用研究 〜



山口県立田布施工業高等学校 工業部

教材研究開発グループ
代表 藤井 博明

山口県立田布施工業高等学校


I.はじめに

 今日では、情報化と技術革新が急速に進展し、情報処理機器に関するハードやソフトが極めて充実し、市場が熟成してきたかに見える。学校教育の現場では、情報化社会に主体的に、柔軟に対応できる能力の育成や教育におけるコンピュータの活用が求められている。限られた学習時間の中で何を指導するのかが問われる時代になったと言える。工業高校としての本校では、情報処理科目の指導内容には明確な目的がある。目指すのは市販のアプリケーションソフトの活用技術ではない。本校では“ものが作れる技術”、またそれを“活用できる技術”を身につけることに主眼を置いている。創造性に富む情報技術教育の展開はいかにあるべきかを研究することにした。

II.研究の目的

 ハードウェアとソフトウェアの仕組み、さらにそれらを関連づけた創造力豊かで発展性のある学習を展開し、技術習得が容易にできる教材の開発及びその指導方法を目的とする。

III.研究手段

  1. 研究を推進する手段
    (1)ハードウェアについて
    (2)ソフトウェアについて
    (3)指導テキストの作成
    (4)開発教材の実践研究
    (5)学習時間及び製作コストの研究

  2. 研究日程概要

IV.研究の実際

 ハードウェア及びソフトウェアの教材製作及び指導テキストを完成させ、それをもとに指導実践を行い教育効果の高いものを目指す。

V.研究のまとめ

実践の成果
(1)教材製作の技術的成果
(2)生徒の学習と指導実践の教育成果

VI.今後の課題


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生活科総合学習で育む情報活用能力
〜 地域教材の開発とその授業実践から 〜



授業場面における学級集団形成の研究・教材開発グループ

藤池 安代

神戸市立神陵台小学校
(前任:神戸市総合教育センター研修課)


 児童が日常身近に接している自然や社会に児童の目を向けさせ、その自然現象や社会現象に接した体験を通して学習を進めるのは生活科教育の原点であり、出発点でもある。

 体験を重視した生活科の学習で、子どもたちは自然と社会を一体化してとらえ、多様な体験の中からはかりしれない情報を得てくる。子どもの五感を通して感じ取ったそれらの情報は、子ども自身の光る言葉や表現、表情、態度等、まさに五感で表現する。

 生活科では、子どもたちが、自ら得た情報を選択し、理解し、自ら情報を発信していく姿勢が培われる。

 子どもたちは、生活科の活動を通して、地域との関わりの中で総合的に学習に取り組むことによって、あらゆる情報を得てくる。このことは、子どもの情報活用能力を培う源となる。

 児童に野外、校外で直接、自然や社会に触れさせて、そこを学習の場にすることは最も望ましいが、その実施にあたっては2つの大きい問題がある。

 1つは、校時編成上の制約に関する問題である。もう1つは、体験活動を設定しても、教師のもっている身近な自然や社会についての情報量や指導力の不足に関する問題である。これらの問題を解消するための実践事例や他教科との合科、総合を加味したカリキュラム編成を提示した。

 さらに、生活科の趣旨や児童につけたい力、情報活用能力、総合表現能力等を育む生活科総合学習を開発し、その力を養う単元、教材(ビデオ教材・マルチメディア教材)を開発し考察した。

 発展的な取り組みとして、小学校、中学校、高等学校の縦のつながりを明示しながら、教師がそれぞれの専門分野から育てる情報活用能力について考察し、教師用の指導資料・研修資料として完成させた。


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児童の自発的な情報活用をめざしたマルチメディア環境の構築
〜 マルチメディア教材ソフトを核とした探索学習活動を通して 〜



向井 浩二

千葉県袖ヶ浦市立蔵波小学校


 21世紀は、情報化の時代といわれ、現在よりもさらに多くの情報が社会にあふれるものと思われる。このような時代に、児童が心豊かに、よりよく主体的に生きていくためには、情報に流されることなく、情報及び情報手段を主体的に選択し、活用していこうとする資質と意欲を獲得する必要がある。

 これからの学校教育は、このような時代的要請を受けて、情報及び情報手段を自発的に取捨選択し、活用していこうとする情報の良き受け手及び情報の良き送り手を育成していくことが急務の課題となってくる。しかし、現段階では、情報活用能力の育成に主眼をおいた教育方法の開発や指導内容への系統的な位置づけなど、いまだ課題として残されている部分も多い。また、コンピュータが学校教育に導入されたといっても教科書、OHP、VTR、スライドなどの視聴覚機器とともに、それぞれ独立した単品での活用が主であった。

 しかし、時代は確実にマルチメディア化に動いている。すなわち、コンピュータを核として、そのデータ処理に、動画、静止画、音響、文字などの多メディアを組み合わせて一括して利用する「複合媒体」の方向へと動いているのである。このようなメディア利用の変化は、相互作用を通した学習のあり方はもちろんのこと、教育のシステム全体に大きな変化を迫るであろう。このような流れの中では、もはや従来の教師主導の授業形態が対応できないことは周知の事実である。

 そこで、教育のマルチメディア化に向けて、児童の自発的な情報活用をめざして、「複合媒体」を効果的に活用できる学習環境と授業形態の開発をめざし、本主題を設定した。

 まず「複合媒体」のより効果的なあり方を考え、児童だけで自発的に学習できるような環境づくりについて基礎的な研究を行った。そして、自発的な取り組みを保障した探索学習活動を中心として、この「複合媒体」を効果的に活用するための授業形態、さらには、キャラクターを導入し、教材自体にストーリーを持たせた社会科教材ソフト(動画の表示を可能にし、開発時間を大幅に短縮できるように工夫された教材作成支援ソフトを利用)を開発し、この学習環境を効果的に活用できるようにした。また、情報活用能力の育成の視点を盛り込んだ指導案の開発も行い、社会科で行う情報教育の授業として1つのスタイルを確立しようと考え、実践した。

 このような方法で実際に授業に取り組み、効果を検証した結果、情報及び情報手段を主体的に選択、活用する力の高まりが見られ、探索学習活動における「複合媒体」を生かす学習環境は、情報活用能力を向上させることが確かめられた。


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パソコン通信による国際理解を中心とした情報教育の推進
〜 デトロイト日本人補習授業校との交流を通して 〜



八杉 弘昭 兵庫県明石市立山手小学校情報教育部

生野 康一 デトロイト補習授業校長


 通信機器や交通機関の発達に伴い、世界が身近に感じられるようになってきている今日、国際的視野に立った人間の育成を目指した教育を推進していくことは、21世紀に生きる子ども達にとって大変重要なことであると考える。1994年4月、共同研究者の生野がアメリカのデトロイト日本人補習授業校(以下 補習校と呼ぶ)に海外派遣が決まり学校長として着任したのを機会にパソコン通信で山手小学校と補習校との交流を通して国際理解教育を進めたいと考えた。

 補習校の子ども達は、月曜日から金曜日までは現地校に通い、土曜日だ け補習校に通うという生活をしている。そこで、補習校の子ども達が、い つ・どのような形でアメリカの生活に溶け込んでいくのか、その過程を調査し研究することは、これからの国際理解教育を進めていく上で一つの方 向を示してくれると考え、補習校の子ども達の作文を分析し考察を行った。その結果、新しい環境や言語への抵抗の度合いによって子ども達は様々な反応を起こすことが分かった。おそらく日本の子ども達が外国の人と直接 に触れ合う機会があれば同様の反応を起こすであろうと考えられる。従っ て、この分析と考察によって判明したことは国際理解教育を進める上での貴重な材料となるであろう。

 パソコン通信を利用して国際理解教育を進める上で、直接外国の子ども 達と交流を持つことが一番良いと考えられるが、小学校という発達段階で は、外国語で通信しあうということは困難である。そこで、直接外国人と触れ合うという体験をしている補習校の子ども達とパソコン通信で交流す ることによって国際理解を深めることにした。

 パソコン通信による交流は子どもでも容易に扱えるし、また、アメリカ という遠い距離にありながらリアルタイムに近い状態で交流できるという 利点がある。国際理解教育を進める上でパソコン通信の利用についての考察も行うことにした。


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多面的な思考ができる子どもを育てる情報教育について
〜 ひとつのものごとを掘り下げて考える活動を通して 〜



代表者 山下 陽一 兵庫県尼崎市立尼崎北小学校
竹本 務 兵庫県伊丹市立笹原小学校
花崎 進 兵庫県宝塚市立教育総合センター
助言者 原 克彦 兵庫県園田学園女子大学
伊藤 剛和 兵庫県園田学園女子大学


 これからの教育においては、「問題解決の力」が重要視される。子どもたちが主体的に問題解決にあたるには、子どもたち自らが問題に対する情報を的確にとらえ、掘り下げていく力、いろいろな情報を活用しながら物事を多面的に見る力が必要であると考えた。

 本研究では、その多面的な思考を育てるために、情報教育という観点で見直しながらカリキュラム開発やマルチメディア教材の作成及び教育活動の中での実践を試みた。

 子どもたちが、ある事物にこだわり、掘り下げていくには、そのものについての理解が必要である。そこで、いろいろな情報が必要になってくるが、書物などの文字情報や映像などが有効に働くことがわかってきた。しかし、より主体的に子どもたちが情報に対して働きかけることができるようになれば、こだわりや多面的思考が深まっていくことも明らかになった。


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