一般財団法人上月財団
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第1回上月情報教育研究助成 論文要約


CD-ROMを用いた新聞記事検索
〜 『情報処理(I)』における情報処理活用能力の育成 〜



井上 宏明

和歌山県立星林高等学校


 新学習指導要領に示された情報活用能力について、星林高等学校では昭和63年の情報処理授業開始当初から、情報選択能力の育成のためデータベース学習に取り組んで来た。

 当初は生徒にデータベースの理解と活用をうながすため、データベースの自作に取り組んでみたが、やがてコンピュータでデータベースを管理する意義を教えるため、一般にも提供され始めたオンラインデータベースについても、平成2年より実習を試みた。

 パソコン通信を使っての新聞記事オンラインデータベースの検索は、生徒の興味や、レポート作りのための資料調べには適していたが、経費がかさんだ。

 そんなおり、当時周辺機器としてCD-ROMが普及し始め、これに注目したところ、今まで大型コンピュータでしか出来なかった大容量データベース検索が、パソコンベースでも可能であることを知り、上月教育財団の研究助成をいただいて「CD-HIASK(朝日新聞全文記事情報)」を購入、平成5年度より2年間にわたって授業実践をおこなった。

 これにより、生徒もデータベース学習において、より多くの情報に当たれるようになり、生徒の課題学習、レポート作成にも幅が出始めた。

 特に平成6年には、さらにこのデータベース学習を発展させ、情報表現能力育成にも取り組み、このCD-HIASKの活用で、個々の生徒の考える力や、発表能力、表現力にめざましい成果がみられた。


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高等学校理科における情報活用能力の育成
〜 情報教育における理科授業の活性化 〜



尾原 周治

兵庫県立加古川北高等学校


1.研究の槻要

 情報活用能力の育成と理料授業の活性化を行うために以下の3点から研究を行った。

  1. 理科教育(主に物理)において、情報活用能力の育成を目指した教材、実験、観察、指導方法の研究を行い、それに伴う教具、実験機器等の教材の開発を行なう。
  2. 理科教育における効果的なコンピュータ利用の研究を行なう。
  3. 情報科学の基礎およびコンピュータの特徴の理解、操作能力の習得を目指した物理授業の研究

2.研究の目的

 物理の授業の中で情報活用能力を育成し、実験・観察を多く取り入れることによって、自らが主体的、意欲的に取り組むことができる生徒を育てる。

 これによって理科授業を活性化し、現在さかんに言われている「理科離れ」を少しでも解消させることを目的とした。具体的な目的は次の通りである。

  1. 情報活用能力を実験や観察で計測、集計、データ処理等を通して育成する。
  2. 理科教育においてコンピュータを生徒が自ら主体的に探求する道具として活用することによって、生徒の自ら学ぶ意欲を高め、思考力、判断力、表現力、探求心などを育てる。
  3. 実験、観察を重視した授業や、コンピュータを探求する道具として活用する授業によって、自らが主体的に取り組み、理科の授業を活性化する。
  4. 情報活用能力の育成を目指した教材、実験、観察、指導方法を開発する。
  5. 理科教育における主体的に探求する道具として、コンピュータ活用法を開発する。
  6. 情報科学の基礎及びコンピュータの特徴の理解、操作能力の習得を目指した物理授業を確立する。

3.研究の実際

 次のことを目標にし、実践を行った。

  1. 情報の判断、選択、整理、処理能力及び新しい情報の創造、伝達能力の育成について実験、観察等を重視し、データの整理の仕方や活用を理解させる。
  2. 情報の検索、計測、集計、処理等にコンピュータを活用することにより、問題解決学習の充実を図る。
  3. 情報科学の基礎および情報手段(特にコンピュータ)の特徴の理解、操作能力の習得について情報の伝達、情報の処理、情報の記憶に項目を分ける。それぞれについて実験・実習・観察を通して情報科学の基礎やコンピュータの特徴の理解、操作能力の育成を行なう。
実践1 身近な素材を利用し、実験・観察を重視した物理授業
実践2 予想を立て、実験を行い考察することを重視した授業
実践3 実験のデータ処理等にコンピュータを利用した授業
実践4 コンピュータソフトウェアの基本操作学習
実践5 表現豊かなプレゼンテーションや実験レポートの作成
実践6 情報の伝達、処理、記憶についての実験、実習授業
実践7 コンピュータを計測機器として利用する実験授業

4.研究の成果

 生徒は最初はグループでの話し合いもあまり活発ではなく、実験に取り組むのも積極性が見られなかったのが、回を重ねるごとに、グループでの議論も活発になり、実験に意欲的に取り組むようになってきた。また、実験結果をレポートにまとめるのも非常に上手になり、情報活用能力も身についたと思われる。特にコンピュータについての授業やコンピュータを使った授業には興味を示し、情報化社会の一面をのぞかせた。

 生徒の卒業研究での報告を見ると、自らが積極的かつ主体的に取り組み、実践する能力を身につけたと思われる。


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コンピュータ学習の関心・意欲に関する調査研究
〜 「コンピュータ嫌い」の子どもについて 〜


A reserch of students' in the learning computer operation
− Focusing on the students who are not interested in computers −



田端矢一郎 大阪市教育センター教育研究室
森本 哲郎 龍谷大学

和歌山県立星林高等学校


 この研究は、中学生のコンピュータ学習に見られる「コンピュータ嫌い」の子ども(9%)を取りあげ、学習への適応などの状況的要因を明らかにした。このうち「学力」段階では、上位群の4.8%に対し下位群が圧倒的に多い(61.9%)。この下位群が示す学習態度を、9項目27観点から判定・標準得点化する事例的調査を行った。この結果、プラス評価は「協調性」・「自主性」であり、マイナス評価は「指導性」・「柔軟性」である。

 こうした状況から、既存教科とコンピュータ学習の関係、技能習得以前の教育本質論に対する教師教育の重要性を改めて確認した。

 〔キーワード〕コンピュータ学習、情報基礎、コンピュータ嫌い、情報活用能力


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小・中学校における情報教育のカリキュラム開発
〜 教科にねざした情報活用能力の育成 〜



南国市情報教育研究会

田村 剛啓

高知県南国市立白木谷小学校


 本研究は、情報教育を情報活用能力の育成を目指して行う教育として、小・中学校段階ではどのような教育を行うかを研究した取り組みである。具体的には、情報活用能力を問題解決能力と自己評価能力の2つの能力と考え、その能力の育成のための環境の整備を含めたカリキュラムの開発研究である。

 まず、情報活用能力の育成は全教育活動で行うものであるので、系統だった取り組みの整理として、小・中学校で行うべき情報活用能力に関する教育活動、それぞれの学年の年間指導計画等を作成した。学習においては、体験とその中で試行錯誤の場を設定し課題解決行動をさせるような学習デザインを考え、それに基づいて授業を実践した。

 また、情報活用能力の評価については、1年を通して学習者の常時活動の中で変容を見つめる評価研究と情報活用能力育成のための特説カリキュラムの中での変容を見つめる評価研究を行った。

 具体的実践例としては、次の2つを取り上げて報告する。

  • 小学校……社会科における体験を通した調べ学習で情報活用能力の育成についてのカリキュラム
  • 中学校……学習者が他の教育活動で体験したことをもとにそれぞれの課題を設定しコンピュータで作品化した情報基礎でのカリキュラム

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国際パソコン通信の経験がもたらす学生の意識変化
〜 異文化理解教育と情報教育の視点から 〜



成瀬 喜則

富山商船高等専門学校


 筆者は、学校教育の中でコンピュータを有効利用することによって、従来の教育ではなし得なかった新しい教育の実現に取り組んで来たが、学校現場で情報教育を推進するためには、教師が気軽にいろいろな場面でコンピュータやメディア活用できることが必要であると痛感した。

 そこで国際パソコン通信の活用に着目し、以下の実践を通して学生の様子や感想などを元にして考察を行った。

 まず、電子mail機能を利用して、学生の異文化理解交流を促進させる実践を行なった。交流相手は英国の北アイルランドのGlengormley High School(グレンゴームリー高校)の学生である。

 交流テーマと交流期限を決めたり、資料やテープ・ビデオの交換をさせる等の工夫をし、交流意欲を高めるように努力した。その結果、本校の学生と英国の学生とで、相手の国の文化についての認識が違うことがわかった。

 さらに、学生間の電子mailが進むのと並行して、相互の国の学生にパソコンソフトによる作品を作成させ、それを交換し合う実践を行った。

 このソフトには、日本語の説明と英語の説明の両方が入れてあり、日本の学生も外国の学生も見ることができるようになっている。

 作成したソフトは、国際郵便で送付され、電子mailで意見交流がなされた。

 また、パソコン通信同好会を中心にいくつかの実践に取り組んでいる時に、NHKの番組参加の話が持ち上がり、ゴミ問題について取り組むことになった。

 さっそく、イギリスに電子mailを送り、海外のゴミ処理についての問題点等について質問することにした。さらに、富山大学の環境問題に詳しい先生を訪ねて、情報を収集したり、富山県内や石川県の主な市町村のゴミ分別方法や問題点の取材を始めた。

 イギリスのゴミ問題に関する情報をきっかけに、自分たちの周りに目を向け、環境問題を身近な問題として考えるようになった。

 リアルタイムチャットは、情報伝達量は非常に少ない半面、「今、実際に外国の人と話をしているのだ。」ということが実感できるため、与えるインパクトは非常に大きい。

 ある日、イギリスの日本大使が我々の活動の様子を見るために、北アイルランドのGlengormley High Schoolを訪れることになった。大使に国際パソコン通信の様子をみせるために、学生同士がリアルタイムチャットをすることになった。

 CHATで交わされる情報は多くないが、学生に与えるインパクトは強い。電子mailによる交流実践の中でこのような企画を取り入れるといいことがわかった。


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情報を収集・選択・処理する能力を育てるためのコンピュータの利用
〜 マルチメディア教育「天気の変化」の開発を通して 〜



米澤 雅史

千葉県木更津市立教育センター


[ねらい]

 児童の情報活用能力を育成する教材開発を行い、学習の中に積極的に取り入れ、その教材が児童の情報活用能力の育成にどれだけ効果をもたらすのかを実践的に究明する。

[内 容]

 観察した気象データを児童が簡単に入力でき、その気象データをもとに、天気の変化を予想する資料を得ることができ、さらに天気を予想するときに、その季節の天気の変化や雲の動きの特徴、天気のことわざなどを簡単に調べることができる教材を開発した。

 そして、その教材を授業で利用し、その効果を問題事象法・イメージマップテスト・操作履歴の観点等により検証した。

 その結果、「天気の変化」の単元に関わりの深い情報活用能力((1)情報の収集、(2)情報の処理、(3)情報の判断)の面において向上が見られた。

 また、児童の「知識・理解」、「関心・意欲」の面でも、向上が見られた。


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