一般財団法人上月財団
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事業紹介

第6回(平成9年度)情報教育賞 要約

児童の地域理解をうながす社会教育活動の実践
−「城端ネットワーク学園」の実践から−

城端ネットワーク学園プロジェクト

原田 一義

 学校週5日制は2002年には完全実施となり、児童生徒を対象にした社会教育事業は、これからの重要な教育課題となる。一方、社会教育事業と言えば、どうしても高齢者に始まり、女性、一般成人を対象にすることが多く見られ、児童生徒に対しての社会教育事業をどのように位置づければいいのかを模索しているのが現状である。
 中教審の第一次答申では、地域の教育力の見直しが揚げられた。これをもとに、平成8年度より富山県教育委員会生涯学習室では、社会教育の立場から学校週5日制の完全実施に対応した事業「ウィークエンド・サークル事業」が打ち出され、各市町村で積極的に取り組むように指導がなされている。これを受けて、当城端町教育委員会では「城端ネットワーク学園」を企画した。
 本事業は、これからの教育の在り方を考え、児童生徒の学校外活動の充実を目指して、

 ○自分の足で情報を集め、インターネットで情報を発信する子供
 ○地域を知り、理解を深める子供
 ○さまざまな情報を接しながら、学習を広げる子供
 ○地域に開放された学校
 ○家庭や地域が連携した教育体制
 ○インターネットを利用した地域のネットワーク

 以上の6つの視点からの実践である。
 この実践は、隔週5日制の休業日となる毎月第2土曜日を「城端ネットワーク学園」の日として設定し、休日の学校を活用して行った。平成8年度は小学校5、6年生、28名の子どもたちで始まり、平成9年度には保護者の要望を受けて新たに4年生を加え、52名で実施した。
 この事業を通して、子どもたちが地域の情報を収集しインターネットを利用して、情報発信することで、自分たちの地域の自然や歴史、文化について理解を深め、ふるさとを再発見するよい機会となった。また、子どもたちのコンピュータに対する興味・関心が予想以上に高まりを見せ、学校でも休憩時間だけでなく、放課後もコンピュータ室を利用する子どもたちが増えてきた。さらには、子どもたちが身近な情報を発信することを通して、ホームページを見た保護者や地域の人たちの協力を得られるようになった。参加した保護者は自分の子どもだけでなく、他の子どもの支援にもかかわり、積極的な支援体制が形成された。また、地元大学である富山大学との協力体制をさぐる一歩ともなった。


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複数学校間におけるグループ指導体制確立のための
インターネット利用に関する研究
− 情報教育への不安解消を助ける教師支援システムの構築 −


代表 小山 宣樹 和歌山県教育研修センター
  西野 和典 大阪府立旭高等学校

 教師が情報教育をはじめておこなうとき、コンピュータの扱いなどの情報技術や、教材研究から授業実践、さらに授業評価に至るまで、試行錯誤で行わなければならないことなどへの不安がある。このような不安を取り除くために、われわれは、学校現場で実践を行いつつ支援を受けることができる教師支援システムを考案した。そしてそのシステムを活用して、技術的支援や、情報教育の取り組みへの支援を試みた。その結果、われわれは、教師が情報教育を行っていく過程で、授業方法や評価観が変わっていくことを知るとともに、そのことによって生徒の学習に変化がみられることを知った。また、その支援過程の分析を通して教師支援のあり方の知見を得た。

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主体的な学習による情報活用能力の育成
− パソコン室経営を子どもとともに進めることを通して −

細川 都司恵

石川県内灘町立清湖小学校(前 石川県鳥屋町立鳥屋小学校)

 教師主体のパソコン室経営をやめ、児童とともにパソコン室の学習環境を考え、整備していく中で、パソコン室を児童の「創造の場」とするための情報活用能力(コンピュータリテラシー)の洗い出しを行った。
 それをもとに、身につけてほしいリテラシーをスキル化し、A〜C級のグレードで評価するインストラクター制度を導入した。この制度によって、情報活用能力の向上を目指した、児童の主体的学習および、啓発的な相互交流が生まれ、児童による児童のための自主的なサポート体制が確立してきた。

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マルチメディアを活用し自ら
進んで問題解決学習にとりくむ子

神奈川県相模原市立東林小学校

金子 一成

 子供一人一人が本来持っている知的好奇心を大いに揺さぶり【自ら学ぶ力・自ら考える力】を引き出す授業=自ら発見した問題を自ら解決することを通して、問題を解決する能力、生きる力を育む授業の追究。さらに、問題解決的な活動と連動した形でのコンピュータ等のマルチメディアの効果的な活用に視点をあて研究に取り組んでいます。

1.子供の学びから関連的学習
  教科・領域等の中で関連ある単元・題材を結びつけて子供の思考が体系化できるように教科の枠を低くした横断的・総合的な学習に取り組んでいます。そのために、関連構成図を作って、子供の学習への支援の見通しを図っています。

2.マルチメディアの学習環境
  子供たちの問題解決学習を支えるツールとしてコンピュータ・デジタルカメラ等のマルチメディアの活用を図り、主体的な調べ学習、創造的な表現活動が行える環境づくりに取り組んでいます。

 ・マルチメディアの活用
  →マルチメディア、インターネットを活用した情報収集と学習成果の蓄積
   →マルチメディアを活用した表現活動(観察記録文・見学記録文・電子メール)
    →マルチメディアを活用したコミュニケーションの活性化(ワークショップ)

3.実践事例
 ○3年生は、見学メモをもとにメディアを活用して壁新聞や見学記録文を書く。
 ○4年生は、マルチメディア・インターネットを活用して情報収集・ワークショップ・電子新聞を書く。
 ○5年生は、マルチメディア・インターネット・VTRを活用して情報収集・ワークショップでの情報交換を通しての問題解決。
 ○6年生は、TTの活用・VTR・マルチメディア・インターネットを活用しての情報収集とワークショップでの情報交換を通した問題解決。

4.子供の多様な活動や学習を支援するためにTT体制を取り、自ら学ぶ子供を育てることへの協働のアプローチをしている。
 ・体験活動や主体的活動を支援する。

5.相互評価の工夫
  子供のよさや可能性を伸ばす評価として子供自身による自己評価、子供同士の相互評価活動を研究し、子供の自ら学ぶ力の育成を試行している。
 ・感動の共有化、相互評価の工夫
 ・子供自らが学習を振り返られるような自己評価の工夫

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インターネット導入時に当面する問題とその解決方法の研究
−コラボレ-ション授業を通じて−

長谷川 元洋   井戸坂 幸男

三重大学教育学部附属中学校

 本研究のスタートに先立ち、審査員の先生方から、「しっかりとしたテーマ課題を持って取り組み、その中で情報モラルや問題点を扱うべきである」という助言をいただいた。そこで、次の実践を行い、その中から、問題点を見つけだすと同時に解決方法を探ることにした。


1. 技術家庭科で行っているプログラミングの授業に電子メールを活用し、プロのプログラマーとの交流や作品の紹介をする。

2. 学校行事などでの体験をホームページにまとめ、発信する。

3. 技術家庭科情報基礎でホームページ作りの授業をする。

4. クラブ活動においてインターネットを利用する。


 これらの実践の中から、それぞれのテーマへの取り組みの中でインターネットを利用して、外部に自分たちの活動を伝えたり、電子メールで感想やアドバイスをもらうことで、生徒は意欲的こ取り組む姿が見られた。また、自分の考えを発信したり、相手を理解しようとするなど、コミュニケーションの力を養うのに、非常に有効な手だてであることがわかった。
 しかし、ページ公開の中でいくつかの問題がでてきた。一番大きな問題は生徒の作品の著作権と個人が特定できる写真の肖像権の扱いであった。そこで、まず、生徒が作成したページは非公開扱いとし、公開に際して、想定される事態を考慮したインターネット利用の規定を作成し、実践を進めながら、問題解決にあたることにした。
 この件に関し、保護者にアンケートをとると同時に全国の学校の状況、海外の学校の状況、新聞社、テレビ局の肖像権の扱いについて調査を行うと同時に法律の専門家にも、助言を仰いだ。その結果、インターネット利用について、保護者の理解を得ることが大切であるという助言をいただき、保護者から理解を得る努力を進めることにした。
 これまでの取り組みで、次のことがわかってきた。


(1) 新聞テレビなど不特定多数を対象として、情報発信しているマスメディアと学校のホームページは社会的な役割、認識が全く違うため、情報発信について、同様に考えることはできない。

(2) 保護者はインターネットにより、学校と社会を結ぶ際の危険性について、不安を持っている。インターネットにより、学校と社会を結ぶ実践について、保護者の不安を一つ一つ取り除きながら、共通理解を図っていくことが大切である。

(3) インターネットにより、学校の内部どうしを結ぶ実践においては、保護者の不安は少ない。

(4) インターネットの利点を最大限生かす教育実践を実現するためには(3)の範囲の実践から始め、実践と検証を繰り返しながら、ノウハウを蓄積していくと同時にそれが保護者に伝わるような努力を重ねることが大切である。

(5) インターネットの利用の目的をはっきりと持ち、その目的にあった情報マネージメントをしっかりとすることが理解を得る上で大切である。

(6) 職員、保護者ともに共通理解を図りながら進めることは、本当にインターネットの利用を学校に定着させる上でとても、大切である。

(7) 設備の運用面での体制を整えることが実践の継続、発展の基盤となる。


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映像リテラシーを育成するためのメディアタイムの実践

丸岡中学校ニューメディア教育活用研究会

高橋 賢哉

福井県丸岡町立丸岡中学校

 高度情報通信社会、マルチメディア時代と言われる中で、現代の中学生は情報の渦に巻き込まれている。近年のインターネットの隆盛、デジタル衛星放送の拡大などは、そのような状況を端的に象徴するものであろう。21世紀を生きる彼らが、様々なメディアから流れてくる膨大な量の情報の中から、必要な情報を有効に活用し、新たな情報の発信者となる能力を身につけることは、不可欠である。
 日進月歩で進化するメディアの中でも映像メディアの変化は著しく、デジタル衛星放送やCATVの普及などによる多チャンネル化は、視聴者が映像情報を主体的に選択することを可能とし、ビデオカメラ、デジタルカメラ、家庭用編集機などの普及は、我々が自ら映像を制作し、編集することを可能にした.つまり、映像情報メディアがパーソナル化し、映像情報が我々の日常生活により深く関わるようになってきたのである。
 このような映像情報メディアのパーソナル化が進む中で、氾濫する多くの情報を受け身的に視聴するだけでなく、積極的な視聴をすると同時に、情報の送り手になり、効果的に情報を発信する方法、受け手に正確に伝えるための情報の作り方、利用するメディアの特性などを知る必要がある。つまり、メディアリテラシー、とりわけ映像リテラシーの獲得が不可欠になってくると思われる。
 私たち研究グループは、学校教育における情報活用能力の育成は教科指導の中だけでは不十分であると考えた。特にメディアリテラシーの育成を効率的におこなうためには、時間を特設して実施する必要があると考えたのである。今までに、中学校において、全校体制でメディアリテラシー育成の時間を年間計画の中に位置づけている実践例は少ない。学校5日制が始まり、教育活動の精選が求められる中で、全校体制でメディアリテラシーの育成を計画的に実践することは難しいのだろうか。私たちは時代の要請の中、その可能性を追求することにしたのである。私たちは、そのために「ゆとり」の時間を利用して全校でメディアリテラシーの育成を図ることにした。この時間を「メディアタイム」と名付け、実践をおこなった。
 本稿は平成8年度から平成9年度にかけての実践をまとめたものである。


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