一般財団法人上月財団
一般財団法人上月財団
Contents 財団のご紹介 事業紹介 ビデオニュース サイトマップ TOP

事業紹介

第5回(平成8年度)情報教育賞 要約

情報活用能力の育成を意図した授業実践と
その評価に関する一提案
−情報活用能力の育成を支援するネットワーク型マルチメディアソフトの開発と活用−

湯澤 斉之

東京都中央区立日本橋小学校

 小学校においては、国語、社会、算数等において「情報活用能力」の育成を意図した単元が散見でき、また授業実践も行われるようになってきた。
 しかしながら、単元全体を通してどのような情報活用能力の育成が行われたかの評価については、その手法も含めてそれほど多くの実践があるわけではない。授業を行う教師は、情報活用能力をどのように評価するべきであろうか。
 本研究では次のような実践を通して、情報活用能力の評価測定方法について提案するものである。


1.情報活用能力の育成を支援するネットワーク型マルチメディアソフト(児童用プレゼンテーションツール)を開発する。
2.明らかにすべき情報活用能力を大阪教育大学の田中の分類を参考にして、「情報理解力」「情報収集力」「情報選択力」「情報評価力」「情報処理力」「情報伝達力」「情報生成力」の7つとする。
3.情報活用能力を評価測定する方法を考案する。
4.上記の方法で授業実践を行うクラスについて、個々の児童の実態を調査する。
5.実態調査をもとに情報活用能力の育成を図る単元を設計する。
6.開発したネットワーク型マルチメディアソフトを使い、情報活用能力の育成を意図した学習を行う。
7.情報活用能力について、学習前後における個々の児童の差違を評価測定する。   


 授業実践は6年生社会科「みんなの願いを実現する政治」で行い、学級を3つのグループに分けて「国会」「内閣」「裁判所」について、調べ学習を行った。事前調査では、特に「情報処理力」「情報伝達力」に劣る児童が多かったので、両者の育成を図る単元を設計し、7時間の授業実践を行った。
 児童は2人で1台のコンピュータを使用し、調べたことをマルチメディアソフトを使って表現するが、本システムは教室内ネットワークを利用して制作中の作品を随時公開し、さらに相互にメールの送受信が可能であるため、活発な情報交換を促すことができようになっている。つまり、個々の児童は自分の作品を作りながらも、任意の時点で互いの作品を相互に評価しあい、その結果共同学習が成立するようにシステムが設計されている。
 実際の授業では、自分の作品が仕上がるにつれて友達の作品にメールを送る活動が増えていき、一方メールを受け取った児童は、友達の意見を参考にしながら自分の作品を手直ししていく活動になっていった。
 単元終了後、児童の情報活用能力について、のべ7回実施した2種類のアンケートとサーバに残されたメール及び児童の作品の推移を分析した結果、当初意図した「情報処理力」「情報伝達力」に有意差が認められた。すなわち、情報活用能力の7つの下位項目について,その育成を図る単元を設計することが可能であり、その評価も可能である。また、今回開発したネットワーク型マルチメディアソフトが児童の情報活用能力の育成を支援することがわかった。
 さらに7つの下位項目について相互の関連を調べたところ、情報を受信し処理する過程で必要とされる能力と情報を発信する過程で必要とされる能力の2つに分類でき、特に「情報評価力」と「情報伝達力」が鍵となっている可能性が伺われた。このことは情報活用能力の構造化がある程度可能であることを示唆するものである。

Back

環境教育CD-ROM「じっと見つめて台原森林公園」の開発・評価研究

台原森林公園プロジェクト

代表 日下 孝

仙台市科学館

 杜の都「仙台」から、手作りの情報を発信したい。
 身の回りにある日常的な風景を見つめ直し、その中に何を読みとれるのかを子供たちに考えさせ、情報活用能力に寄与する実践を組み立ててみたい。一つの素材を小・中学校の様々な領域の実践でどのように活用できるかを考え、自作教材の共有化はどうしたらできるかを模索してみたい。私たちの研究会のこのような夢を、一つの形にまとめてみようと考えたのがこの研究のきっかけであった。
 マルチメディア時代の情報発信、しかも環境教育に欠かすことのできない「地元情報」の提供と実践研究資源の共有化を研究の目指すところとした。
 そこで、台原森林公園という限定された自然についての1年間を、様々な観点から調査・研究し、自然の営みを紹介するマルチメディアデータベース(CD−ROM)を作成・配布することを目的として開発・評価研究を行うことにした。
 CD−ROMは、大きく次の3つの領域があり、お互いに連携をとり動作するようになっている。(Win、Macどちらでも動作可能)

(1)森林公園の散歩
  森林公園内を四季の変化を加味しながら自由に散策できる。
(2)森林公園のデータベース
  定点観測システムによる森林公園の1年間の自然の営みを中心とした13種類データベース群。
  このことにより、人と自然との関わりを多面的に観察することができるようになっている。
(3)学習機能
  森林公園の様々な自然について、遊びの感覚で確認することができる。

 完成したCD−ROMは、そのつど現場の児童・生徒に評価をしてもらい、第22回全日本教育工学研究協議会全国大会(平成8年10月仙台市科学館で開催)に完成品を2,000枚配布した。
 この反響は大きく、半年経過した今でもCD−ROMに関する問い合わせが電話やe−mailで科学館の方に届いている。また、同時に配布した仙台市内の小・中学校の児童・生徒の評価も高いので、さらに改良を加えてより利用価値の高いものにしていきたい。 また同時に、科学館のホームページ(http://www.smus.city.sendai.jp)で同様のサービスをしていきたい。

Back

小規模校における情報活用教育の実践研究

福井市殿下小・中学校 情報教育研究グループ

代表 中谷 忠裕

近藤 信一郎   小島 敏弘

福井市殿下小中学校

 僻地小規模校の特質として、社会性や自発性に乏しく、ややもすると閉鎖的で刺激が少ない状況になりがちなことがあげられる。本研究は、主にインターネットを利用して、そのような短所からの脱却を図りながら、児童生徒の情報活用能力の育成を目指したものである。特に、授業実践、ホームページ作成を通した学級活動、地域と結びついた活動など、インターネットを用いた活動を積極的に取り入れることは、児童生徒の自主性が高まるとともに、僻地校が情報発信の中心地となることが可能であることなど、情報活用能力の育成には効果的であった。


Back

[トップ] [スポーツ選手支援事業] [上月スポーツ賞] [スポーツ団体・競技大会助成事業] [クリエイター育成事業] [教育・文化・社会支援事業] [その他]

(C) KOZUKI FOUNDATION