一般財団法人上月財団
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事業紹介

第2回(平成5年度)情報教育賞 要約

情報活用能力を高め自ら学ぶ子供の育成
−問題解決や表現活動におけるコンピュータの有効活用−

大矢 崇明

富山県福野町立福野小学校コンピュータ利用教育研究部会

1 はじめに
 本校では、コンピュータを導入して9年目になる。導入当初は、学習の効率化と個別化をめざしてCAIによる学習プログラムの作成に努めた。その結果、子供たちに基礎的知識は定着したが、子供の主体性が発揮しにくいという新たな問題が出てきた。そこで、コンピュータ利用教育の在り方を見直し、当初の教師が教えるための道具から、子供が自分の問題解決に利用する道具として、「情報活用能力を高め自ら学ぶ子供の育成をどうするか」の観点で研究を進めることになった。
 本報告は、各教科・領域での取組みの中から、コンピュータ機能のよさを実感しながら考えを創り上げていく算数科、多様な情報を生かしながら問題解決していく家庭科、多様なメディアを活用してデーターベースを作っていく学級活動の3事例を取り上げ、どのように子供たちの情報活用能力が高められたかを記したものである。

2 研究の目的
(1)教科の目標を達成し、自ら学ぶ力を育てる。
(2)適切な情報手段を活用しながら問題解決を図ろうとする意識を、子供たちの中に育てる。
(3)情報を選択する力を付け、生活の中で考えながら情報に接する態度を育てる。

3 研究の仮説
(1)問題解決的な学習を推進することによって、情報活用能力育成の基盤となる主体的な学習態度を育てることができる。 
(2)コンピュータなど各種メディアを問題解決や表現活動の道具として活用することによって、情報活用能力を高めることができる。

4 研究の方法
(1)メディア活用の有効な単元を選び、年間指導計画にコンピュータ利用教育を位置付ける。
(2)単元における各種メディアの主体的な利用場面と利用方法を検討し、子供が問題解決過程で自由に活用できる状況を作る。
(3)情報の受け手、使い手、作り手の総合的な体験を学年発達段階に応じて積ませる。
(4)学習方法の振返りを通して、各種メディアの役割や機能を意識化させる。
(5)日々の学習で、自らの手で情報を収集・整理し、問題解決していく活動を重視する。
(6)多情報(資料)・多メディアな学習環境作りと自作ソフトウェアの開発を進める。
(7)子供の活動記録や表現されたものを通して実践を評価し、改善を図る。

5 研究の成果
(1)コンピュータによる情報処理の簡便さ、汎用性を実感し、算数で使ったツールソフトで理科や社会科でもデータ処理を試みるなど、進んで学習活動に利用するようになった。
(2)どの学年の子供も、自分の問題解決に必要な情報を収集、整理・加工し、交換しながら学習を深めていった。特に、高学年は、視点をもって情報を収集し、選択する力、情報を分かりやすく再構成する力が付いてきた。 
(3)コンピュータ等各種メディアを問題解決や表現活動の道具として主体的に活用したことで、自分の必要に応じてメディアを選び、適切に利用する力が付いた。
(4)休憩時や放課後、コンピュータ室では、ゲームや作画等を楽しむ姿とともに、栄養バランスを調べたり、ガス代と気温の関係をグラフ化したりするなど、自分たちの生活の中でコンピュータを利用する姿もみられるようになった。


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音楽学習におけるコンピュータ等の活用
−創造的な音楽表現を伸長させるための効果的な楽器・機器の活用を中心に−

揖保小学校教育研究グループ

代表 岸本 義博

兵庫県龍野市立揖保小学校

 平成4年度から新しい学習指導要領に基づく教育課程が編成実施されたが、本校では、新しい学力観に立脚し、「自ら学ぶ意欲的な子どもの育成」を学校教育目標にし、一人ひとりの児童がさまざまな情報を自らの力によって豊かに表現できるよう、指導内容と方法を研究し、実践を深めようと考えた。                 
 自らの心情を、より豊かに表現するためには、多くの音楽環境からは入ってくる情報を選択し、仲間と共に創造し、主体的、積極的に表現活動する分野がきわめて重要な音楽教育に焦点を当てることにした。
 音楽学習を情報活用能力の育成の視点から捉え、主体的に音楽表現でき、学ぶ喜びが生活の中ににじむような児童の育成につなぐことをねらいとして、次の3点を研究の方向とした。

1.すべての児童が、音楽に興味・関心を持ち、種々の音楽的情報を活用し、主体的に自らを表現する授業を創造する。
2.児童の内発的な情感を音楽表現するために適した楽器・機器の選択能力とメディアの活用技能の育成を図る。
3.児童が受け身の学習から、主体的に学習課題を明確にし、自らの力で心豊かに表現する能力と教師自身の音楽教育を中心とした情報活用能力の育成に焦点を当てた指導的力量を高める。

 取り組みの成果としては、以下のことがあげられる。

1.従来の教師主導型の一斉授業から、児童中心の授業に変わった。
2.児童個々の自由な表現活動を重視した授業へと転換した結果、音楽に対する興味・関心が高まった。
3.音楽の生活化が定着してきた
4.情操教育として成果が上がっている
5.教師の指導力量の向上

 さらに、これからの課題として、以下の3点をあげたい。

1.情報活用能力の育成を図るためには、時間的な制約の面から、内容を限定しなければならない。
2.情報活用能力の育成という視点と授業形態との接点を明らかにする必要がある。
3.他教科においても、情報活用能力の育成の取り組みを進めていきたい。


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情報活用能力を育てるためのソフトウェアの開発と授業実践
−中学校「技術・家庭」科における「情報基礎」領域の指導を通して−

白井 靖敏

三重県総合教育センター

 今では各中学校にパソコンが導入され、「技術・家庭」科の指導領域である「情報基礎」などを通して情報機器の操作等の指導が行われている。その中では、情報に関する基礎、機器等の操作やその仕組みなどの指導についての実践研究は多いが、情報活用能力の育成についての具体的な実践事例が比較的少ないのが現状である。
 情報活用能力の育成は、「情報基礎」領域だけで行えるものではなく、必要に応じて多くの教科・科目の中で取り上げ、実践を積み重ねなければならないことは言うまでもない。もちろん、情報活用能力を育てるという明確な定義はなかったとしても、従来から作文、スピーチ、壁新聞などの手法を用いた指導が行われていた。しかし、これらの指導の大切さはよく分かってはいるものの、知識・理科を中心とした指導を重視してきたのが現状である。したがって、多くの生徒は覚えた知識をそのままの形では引き出せるが、内容の異なる知識を整理して、適切に引き出すことはすぐにはできない。これからは、多くの知識等の活用ができる学習環境を整備することが必要である。
 パソコン等の情報機器は、情報活用能力を育てる最も適した機器であり、教育にうまく利用すれば、これまで実現が難しかった学習環境が提供できると思う。
 本研究では、中学生を対象に情報活用能力を育てる指導および評価方法について、中学校の「技術・家庭」科の「情報基礎」領域の指導実践を通して検討した。情報活用の仕方をはじめて学ぶ場合、どのような学習過程が適切か、そして、どのような能力が育てば情報活用能力が身に付いたといえるかなどの観点で授 業を設計し,そこで使うソフトウェアを開発した。具体的には、情報活用の基礎概念が無理なく身に付くよう、以下に示す学習ステップを設定した。


(1)第一段階:情報機器を操作して意味のある情報を作り出すことができること。
(2)第二段階:いくつかの情報を組み合わせ、加工して新しい情報として再編集することができること。
(3)第三段階:課題達成のために、すでに再編集された情報も含めて、情報の選択、加工が行え、幾つかの情報を並行して処理できること。
(4)第四段階:自分で課題を設定し、その達成に向けて情報を収集し、取捨選択加工して、新しい情報として発信することができること。


 これらを基本に指導計画を立て、指導案およびソフトウェアを作成した。そして,中学3年生6学級のうち3学級は第一段階から第四段階まで順に指導し、残りの3学級は従来通り市販のアプリケーションソフトを使って指導し、第四段階のみ本研究で開発したソフトを用いた指導を行った。その結果、対象学級において、第一段階から第三段階までの実践から情報活用の基礎概念が形成される過程を調べることができ、中学生の「情報基礎」においても、情報の活用という視点に立った指導の有効性が確かめられた。さらに、第四段階の実践結果から、情報活用能力の面において、その他の学級との明瞭な差異が認められた。


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「高校生による小学生パソコン教室」の試み
−休校日になった第二土曜日の有効活用について−

八田 久夫

神戸市立神戸工業高等学校

 平成4年9月より第2土曜日休校が開始された。いろいろ論議を呼んだが、本校では地域に貢献できるということで「高校生による小学生パソコン教室」を企画した。
 これにいたるまでの経緯と講座の状況を示し、今後への展望を考察したものである。

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