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海外研修会に参加して


神戸大学 村川 祐介

■全体の感想

アメリカという国が、どんな国かよくわからなくなった。アメリカは二度目だが、都市の雰囲気がこれほどまで違うと、一体どこへきたのかわからなくなる。空港の雰囲気がどれも異なった。さっぱりした空港、ど派手な空港、落ち着いた雰囲気の空港、どの空港もその都市を端的に表していると思った。その雰囲気というのは、直接その地の住民の価値観に影響を受けたからそのような形になったと思うのだが、ラスベガスもサンフランシスコも大きく異なっていた。つまり、そこに住む人々の価値観が異なるということが考えられる。
産業が地域にもたらす影響も見逃してはならないと思う。ラスベガスでは、州が税金を安くするなどといった政策を取ることで、新しいベンチャー企業を呼び込もうとしていた。サンフランシスコでは、産学共同といった形態つまりその地域特性を旨く活用した形での産業が経済を活性化していた。
日本ではどうであろうか。国が決めたことを遵守する地方自治体、産学協同というには程遠い企業群、既得権でご飯を食べていこうとする企業もある。新しいものを作り出そうという雰囲気がなかなか感じられない。瀕死の状態になってようやく見えてくるぐらいだ、どれだけこの島国根性が染み付いているのかがわかるだろう。だが別に僕は、日本が悪いというのではなく、国によって地域によって産業のあり方、人々の価値観のあり方が異なるということを言いたいだけである。
人、特にあまり恵まれていない人たちを見ると、これも大きくその町のあり方を表しているように思う。ラスベガスでは、多くの恵まれていない人々がビラ配り、掃除などの仕事をしていた。サンフランシスコでは、物乞いや社会的に必要とされているのかわからないような仕事(お店のドアの開け閉め)などをしていた。これを見て思ったのが、生きようという姿勢だ。日本では、社会的弱者というのは社会の枠組みから見放されているが、サンフランシスコでもラスベガスでもそういう生きようという姿勢ははっきりと感じ取ることができた。そこに、アメリカという国の魂を垣間見たような気がした。
我々はベンチャースピリットを勉強しに行ったわけだが、アメリカにはやはりその土台があると感じざるをえなかった。町を歩く人たち、店で働く人たち、旨くその場を楽しんでいた。やはり、今というものを楽しんで生活をしているからこそラスベガスのような商業施設ができるのだと思ったし、またシリコンバレーのような新しい産業がどんどん生まれる土壌ができるのだと思う。
間違いなく、アメリカは合州国であると思う。もし国が主導権を握っていたら、これほどの産業を生み出すこともなかったし、これほど世界にインパクトをもたらさなかったとも思う。アメリカ、そしてそこにいる多種多様な人間が繰り広げる展開に、我々は今後も振り回されてしまうのか。少なくともそうならないために、日本らしい産業ビジネスモデルを発展させていかなくてはならないと思う。


■参加して特によかったこと、参考になったことなど

アメリカ人といえども同じ人間であると認識できたこと。
社会に出る前、学生のうちにベンチャーを起こし一攫千金を狙う。素晴らしいことだ。それによって社会にもたらされる利益はものすごいものがあると思う。しかし、そこには数多くのリスクが存在する。資金の問題、人の問題、技術の問題、情報の問題など組織を継続する上で必要不可欠な問題を学生の力だけでこなしていくことができるのかという問題だ。社会を知らずして、また組織を知らずしてそれらに立ち向かうことは、角田さんがおっしゃったベンチャーとはリスクを最小化してベンチャーだという考え方に大いに反するような気がする。
UCバークレーで、出会ったある学生とビジネスプランについて話している時に今後そのプランを事業化するのかという話しになり、彼はIT企業でそれを実現するための勉強をし、スキルを身に付けていつかやってみたいということを教えてくれた。僕も起業する上で、技術を持たないというのは参入障壁がないという大きなリスクであると思うので就職をし、スキルを磨きたいと考えているのだが、まったく同じ考えだったのだ。
同じ考えをもっているということを実感しうれしく思うと共に、やはり人間だ同じことを考えるのだということを思った。これが、今回の旅で最も印象に残った部分である。
ある経営学者が言っていたのだが経営者を育てるには、1.志、2.仕事の場、3.思索の場が必要であるといっていた。学生のうちに起業することは、明らかに仕事の場というものがどんなものか理解していない場合が多い。起業家と企業家はまったく異なる。だから、学生の間に起業することが悪いとは言わないが本当にそれが、経営者になるために必要なステップなのかということだ。僕の場合は、企業家になることよりも、経営者になりたいと考えているので、自分にふさわしい企業に入り、そして自分のスキルを磨き経営者になっていきたいと考えている。
ともかく、今の僕の考え方と同じ考え方の人間と異文化の国で出会えたという経験が大変素晴らしいことであったということは言うまでもなく、このような機会を与えてくれた財団法人上月教育財団には大変感謝をしている。また、より多くの学生がこのような機会を得て自分を磨く機会を設けられるようにより多くの学生に広報していく必要があると感じている。


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