5.まとめ
本研究の成果を研究の視点に沿ってまとめると,以下のようになる。
(1)Web情報の理解力を高めるシステムの開発と活用
インターネット上の学習情報について文字列検索を行い,子どもたちに注目してほしい語句を変化させて表示するシステムを完成させた。そのシステムを活用した授業実践を進め,子どもたちの情報検索や内容の理解を高めることを確認した。
閲覧状況の分析結果から,子どもたちがよく閲覧した用語の種類を判別し,出現頻度や傾向を分析することができた。また,学習効果の測定結果から,システム利用による環境教育での学習効果が認められた。
(2)学習者参加型のリンク集作成システムの開発と活用
学習者参加型のリンク集作成システムを開発し,子どもたちとともに学習用リンク集を作成することができた。リンク集への登録を通して,目的を考えながら情報を選択する力を高めると同時に,自分たちの手で作成した成就感を感じることができた。
作成したリンク集を活用することで,リンクどうしを比較したり,必要かどうかを判断したりする活動に高まった。リンク集への登録状況を分析した結果,理科や社会科,環境教育に関連したリンクが多く登録され,有効な情報と判断していることがわかった。
(3)発信内容を推敲するためのシステムの開発と活用
子どもたちの情報発信に対する学校外からの評価を,自己評価やふりかえりに生かし,Web上での相手を意識し,推敲を繰り返して発信することができた。また,学校外から届いたアドバイスを教師が参考にし,教師からの評価に生かすことができた。
実践前後の意識調査結果から,システム活用によって,発信しようとする意欲や推敲する力が高まることを明らかにした。
(4)Web活用における情報モラルの育成
学年に応じて関連する情報モラルの指導を進め,系統的に情報モラルを指導する体制を整えることができた。情報モラルについての自作資料を作成し,自分なりの対応策を考える活動を通して,個人情報などを指導し,情報発信に責任を持たせるようにした。
また,子どもたちの発想による「メールマガジン」を発行させ,主体的なコミュニケーションに高めることができた。わかりやすく伝えることの大切さを日常的に育成し,学校と地域の連携を生み出すことができた。
情報モラルに関する意識調査結果の比較から,ネットワークを通じて新しい出会いが生まれたと感じている児童が増加していることがわかった。個人情報の保護や著作権についての理解が深まり,進んで守ろうとする意識が高まってきている。インターネット活用を通して協力しようとする態度を高めていることがわかった。
以上,本研究では,情報教育を支援するシステム開発を行い,それを活用した授業実践を通して評価するとともに,児童の情報モラル育成に関する検討を行った。本研究の成果をさらに発展させて,今後も情報教育に関係する研究を行いたい。
参考資料
1) 文部省:環境教育指導資料小学校編(1992)
2) 清水康敬:教育情報メディアの活用,第一法規(1992)
3) 人吉市教育研究所情報教育部会:情報教育実践事例集(2000)
4) 人吉市教育研究所情報教育部会:情報教育実践事例集No2(2001)
本研究に関する発表
(1)山本朋弘:平成11年度熊本県「モアタッチ計画」における指導者養成研修(事例発表),1999.6.4
(2)山本朋弘:熊本県水俣市立教育研究所情報教育部研修会(講話),2000.8.26
(3)山本朋弘:児童の「情報活用能力」を育成する実践事例,熊本県教育研究所連合大会,2000.2.6
(4)山本朋弘,清水康敬:児童の登録によるリンク集作成システムの開発,教育工学関連学協会連合第6回全国大会,pp.419−420,2000.10.8
(5)山本朋弘,清水康敬:学習用語データベースを用いた情報提示システムの開発と授業実践,第26回全日本教育工学研究協議会全国大会高知大会,pp.285-288,2000.10.28
(6)山本朋弘,西村晶子:平成11年度人吉市立人吉東小学校研究授業発表大会,2000.1.29
(7)山本朋弘,穂積景子,山口徳晃,西村晶子:平成12年度人吉市立人吉東小学校研究授業発表大会,2001.1.26
(8)山本朋弘,萩嶺直孝:児童・生徒の「生きる力」を育成するこれからの情報教育のあり方,熊本県教育研究所連合大会,2001.2.3
(9)山本朋弘:「Webでアピール!Webで評価」,学研NEW教育とコンピュータ5月号(2001)
(10)山本朋弘:「電子メールを全員が活用できる環境に」,学研NEW教育とコンピュータ5月号(2001)
(11)山本朋弘:熊本県人吉球磨視聴覚研究会情報教育研修会(講話),2001.6.22
(12)山本朋弘,榎本聡,清水康敬:学習者参加型の地域素材データベースシステムの開発と授業実践,第27回全日本教育工学研究協議会全国大会富山大会,pp.341-344,2001.10.27
(13)山本朋弘,榎本聡,清水康敬:学習者参加型の地域素材データベースシステムの開発と授業実践,日本教育工学会第17回全国大会,2001.11.24