情報教育を支援するシステム開発と
情報モラルの育成に関する検討

3.「情報活用の実践力」の育成

(1)情報収集を支援するシステム開発と活用

 このシステムは,Web情報の内容理解を深め,児童の情報を収集する能力の育成をめざして開発した。用いた学習用語データベースは,環境教育と社会科,理科の内容から作成した。文部省指導資料や環境教育副読本を参考にした。理科や社会科,国語など,他教科の学習用語の選定を行い,これまで作成したデータベースの拡張作業を進め,最終段階では1,500語を登録することができた。
(ア)システムの概要
 本システムでは,代表的な3つの検索エンジンを利用し,情報収集を行うことができるようにした。検索エンジンとして,yahooやyahookids,gooを活用するようにし,文字列検索も行うことができるようにした。
 システムでは,学習者が要求した情報を入手し,システムのデータベースエンジンと交信する。学習に関連のあるキーワードについて文字列検索を行い,学習者に注目してほしい語句の色を変化させて表示する。学習用語の解説文は画面下に表示されるようにした。

 図1(a)は,本システムを使わない時の表示画面である。環境教育に関する学習用語がいくつか出ている。図1(b)は,本システムを利用した場合の表示画面である。図2では,「化石燃料」のように,環境教育に関する学習用語が,赤い文字列に変化し,リンクを付加し,その部分をクリックすると,学習用語の解説を閲覧することができる。また,関連する用語などについても,目次を用いて調べることができるようにした。

図1 システムを活用の流れ



(イ)システムを利用した授業実践
 第5,6学年120名を対象に,総合的な学習の時間(15時間)で行う環境教育を中心に利用した。子どもたちは,検索エンジンから自分の必要とする情報を見つけ始めた。
さまざまな環境問題について情報検索を行い,調べた内容及び環境保護活動の様子について,わかったことをまとめるようにした。
 環境教育の内容が取り上げているページは,かなり多く,子どもたちが初めて目にした語句も多かったようである。本システムを用いて語句の意味を調べ,学習シートに記入する姿を見られた。調べる内容がわかりやすく,理解できるようになり,楽しくなったと感じるようになった。

(ウ)学習効果の比較
 6年の環境教育の授業の一環として,環境問題についての情報収集を行い,本システムを利用した場合と利用しない場合での学習効果の比較を行った。
 表2は,システムありとなしの場合を比較したものである。この表に示すように,システムを利用した場合の方が,5%水準で成績が高い。したがって,本システムが環境教育の学習内容の習熟に効果があることを示している。本システムは「情報活用の実践力」の1つである情報収集をする力を高める効果があることがわかった。

表2 システム有無でのテスト結果の比較

システムあり システムなし
A群(20名) 5.5 3.5
B群(20名) 6.0 4.0
全体 5.6 3.6
**p<0.05