@ 授業実践プログラム
学年 | 第3学年 |
教科 | 美術科 |
担当者 | 小俣直喜 |
単元・領域 | 鑑賞・表現「ヴァーチャル・ミュージアム・プロジェクト」 |
学習目標 | ・自分の選んだ作品を積極的に鑑賞し、調べ、考えながら、深く味わ うことができる。 ・インターネットなどで情報を集め、自分の学習テーマに沿ってまとめ ることができる。 |
目標設定理由 | 今日では、インターネットを通して、世界中の美術館の情報が素早く手に入り、実際にその場に行かなくても、ようすを知ることができる。そうした情報は、芸術関係の施設を訪ねる機会の参考として役立てることもできる。そこで、芸術鑑賞・表現の利用に、自分の見方・考え方を加味し、積極的にコンピュータを活用させるためにこの課題を設定した。 |
実施時期 | 9月第2週〜10月第5週 |
内容・時数 | ○ 各自、好きな美術作品、作者についての美術館(展覧会)を想定し、 インターネットなどからの情報をまとめて、コンピュータ上のヴァー チャル美術館をつくる。 1インターネットの使い方を理解する。いろいろな美術館等のホームペ ージを閲覧し、作家・作品への関心をもつ。 2 学習をすすめながら、興味関心により個人テーマをきめる。 3 Front Page Expressで個人のホームページをつくる。 個人のホームページ上に、各生徒の学習テーマにあった『個人美術 館』をつくる。 4『個人美術館』にコレクションのねらいや、作品の解説、意見を書い ていく。国内外の美術館のホームページを調べ、学習に使いたい作品 の画像を、自分のホームページにのせる(画像のリンク)ホームペー ジ全体の構成を考えたり、見やすい工夫をしながら完成させる。 5 校内ネットワークを利用し、互いに鑑賞する。 日常的に互いのホームページを見合い、作品に対する友達の見方な どから新しい発見をする。 |
備考 | 使用ソフト…インターネット・エクスプローラ、 Front Page Express |
A 実践について
このようなページを作品例として、生徒のフォルダに配っておき、生徒がページを上書きしながら作成し、保存するようにした。
図11 実際のFrontPageの画面
B 生徒の感想
○コンピュータが思うように動かず、進まないときがあった。
○今まで知らなかった作品を知ることができた。
○好きな作者について、さらに興味がもてた。
○頑張って最後まで仕上げたい。
○いろいろな美術館のホームページを見ることができた。
C 反省・今後の課題
この題材の教科としてのねらいは、「主体的に鑑賞する」ことである。これまで、一斉指導で行われてきた「鑑賞」の授業への反省が動機となっている。つまり、作品への一般的な評価や教師の考えの押しつけではなく、生徒が自分の好きな作品を選び、その作品について進んで調べ、自分なりに評価し表現することができるよう設定した。
この題材では、情報機器を使うことがもっとも効果的であろうと思いこのような実践を試みた。コンピュータは、情報を収集してまとめることにおいてたいへん有効な道具である。また、3年生はこれまでの学習のなかで頻繁にコンピュータを利用していたので、操作に慣れていた。また、初めて扱うソフトの基本的な操作もすぐにできるようになった。
しかし、このような授業を行うにあたっては、生徒の美術に対する関心と、調べる対象(作品)を選ぶ力、工夫しながら見やすい画面を構成する感覚など、それまでの美術の授業で、学習の基礎が養われていたかがポイントであった。
進んで調べ学習を始める生徒、助言を受けながら作業を始める生徒もいる中、長時間作品を選べずテーマを決められずに苦しんでいた生徒も少なくなかった。
この授業は、インターネットや図書等の情報収集からはじめたが、生徒それぞれの学習の主題(テーマ)や課題についての決め方、学習計画のたて方のところでの指導・支援が足りず、曖昧な情報収集に終わってしまった生徒も少なくなかった。情報機器の操作に、生徒も授業者も意識を奪われてしまったこともあった。
今後の課題としては、限られた授業時数で教科の目標をめざすために、今の生徒に何が必要なのかよく考え題材の厳選し、より綿密な学習計画と、より効果的な学習方法の工夫が必要だと思う。
D 生徒作品
図12、13に生徒の作品例を示す。この作品は、東京国立博物館のホームページを訪れ葛飾北斎の「富岳三十六景」の中から数点を取り上げている。作成したホームページでは、それぞれの作品について自分なりの考えを述べている。
図12 生徒作品 「北斎 富嶽三十六景」1
図13 生徒作品 「北斎 富嶽三十六景」2