要約
 平成15年度から「情報C」を1年次に2単位で実施してきた。過去3ヵ年の授業実践の中で「Webpageを用いた教材による生徒間および生徒−教師間のインタラクティブな授業」と「コンピュータ利用による協働学習(Computer Supported Collaborative Learning)」の有効性を確認することができ,これらの手法をさらに発展・進化させるため,これまでの教材および授業についての検証を試みることにした。
 教材および授業についての検証のため,まず,学習指導要領の内容「(1)情報のディジタル化」についてのティーチング・ポートフォリオを作成した。ティーチング・ポートフォリオの作成手順の検討から始め,そのよりどころを国立教育政策研究所教育課程研究センターが作成した内容のまとまりごとの評価規準とした。
ティーチング・ポートフォリオは,3つの様式からなる。
1.「具体的な学習活動」,「内容のまとまりごとの評価規準」,「学習指導要領の内容とその取扱い」および「情報教育の目標(本校における評価の観点)」の関係がわかるようなマトリクスを作成し,このマトリクスのセルに「学習活動におけるに評価方法」を記入した。これをティーチング・ポートフォリオの概要という。
2.各授業での評価方法を明記した学習指導案(=ティーチング・ポートフォリオの詳細)を作成する。学習活動の具体的な評価については,内容のまとまりごとの評価規準を参考に本校独自の評価規準を設定し,「生徒個々の評価」目的なのか,あるいは「授業評価」目的なのかを明記した。評価にあたっての基準はA,B,Cの3段階とし,具体例を作成して学習到達度把握の指標とした。
3.A,B,C3段階の実現状況をパーセンテージで表記した事後のティーチング・ポートフォリオを作成し,指導者の自己評価(授業評価)に利用した。
以上のように,3つのティーチング・ポートフォリオを作成することで,指導者の意図および生徒の学習活動を評価という観点で結びつけることができ,指導と評価が一体化された能動的な授業サイクルが完成した。

次へ