開発研究テーマ

  校内ネットワーク(LAN)とサーバーを活用し、学習データの相互通信を活用した学習ソフトの開発 


代表者名  竹内 昭博
勤務先 愛知県岡崎市立藤川小学校

 この1年間に、校内LANを活用した4本のパソコンソフトの順次開発しました。校内LANを使うソフトは、以前から
開発していましたが、それらは、児童パソコンからサーバーへの片方向のデータ通信のソフトでした。しかし、研究
助成をいただいて、双方向にデータを通信するシステムのソフトを作りあげることができました。

2台間の双方向通信ゲーム

 まず作成したのは、2台のパソコンの間で行う対戦型の
バレーボールゲーム「アテネの空」です。これは、LANで
つながった2台のパソコン間でバレーボールをするソフト
です。両方の得点と、サーブ権の位置データをサーバー
に送り、そのデータをもう一台のパソコンで読み込んで活用
する仕組みとなっています。
 これによって、パソコンA→サーバー→パソコンB、
そしてパソコンB→サーバー→パソコンAの相互にデータ
活用が確かめられました。




9台間の双方向通信ゲーム

 次に作成したソフトは、複数のパソコン(最大9台)の間
で行う「神経衰弱ゲーム」(トランプゲーム)です。順番に
カードをめくり同じカードならば、もらうことができるトランプ
のルールです。カードをめくるたびに、他のパソコン画面
でも、そのカードがリアルタイムにめくられるようにしました。
また、だれかがカードをもらうと、他のパソコン画面からも
カードがなくなるようにしたり、全員の取ったカード枚数を
表示したりするようにしました。これにより、パソコンAから
サーバーを通して複数のパソコンに交互にデータを通信
して処理できることが確かめられました。



40台間の片方向通信活用ソフト

 3本目のソフトは、LANを活用した百マス計算プログ
ラム「計算の友」です。これは、サーバーに記録された
学習履歴から順位をリアルタイムに大画面に表示したり、
後から学習履歴分析したりするソフトです。児童の意欲
づけになりました。このソフトは、岡崎市の自作教材コン
クールと、愛知県の自作教材コンクールで、優秀賞をい
ただきました。このシステムは、子機用と先生機用の2種
類のソフトを同時に動かして進むようになっています。




40台間の双方向通信活用ソフト

4本目は、これまでの作品作りのノウハウを生かして作成
した体験学習ソフト「上月島の生き物たち」です。これは、
第1回エデュテインメント開発研究助成のテーマに適合す
るもので、審査委員会からのコメント内容をヒントに、できる
限り沿うように作成しました。そのため、ソフト名も「上月島」
と名づけまた。学習内容は、「食物連鎖」と「弱肉強食」を
体験シミュレーションするものです。
 上月島には21種類の生き物がいて、まず自分が好きな
生き物になります。どの生き物にも、@食べることA水を飲
むことB体を休めることC移動することD求婚して子孫を
残すこと の行動があります。疲れたら休み、空腹になった
ら食べ、のどが渇いたら水を飲みます。死なないようにバラ
ンスよく補給して生きることで、生き物は成長し、大人にな
れば子も生まれます。
LANを活用して、自分の位置や、生き物の種類などの
データをリアルタイムに大画面に表示します。また、食物
連鎖で食べることのできる生き物を見つけて食べることが
できます。もし、食べられてしまうと、食べた生き物の種類
となって生まれ変わります。食べられずに生き続けて寿命
で死んだときは、再びその生き物として生まれ変わります。
最上ランクのタカ、イヌワシ、フクロウは、食べられることが
ないので、寿命で死にます。その際は、死骸が分解されて
ミミズなどのえさとなり、それらの生き物に生まれ変わります。
このように輪廻のゲームになっています。音や声も流れます。
 このソフトを小学校3年生でやってみたところ、子供たちは
今までにないほど大喜びし、全員が「とても楽しい。もっと
やりたい。」と言いました。しかも、帰宅した児童から、「家の
パソコンでもできませんか。」と問い合わせの電話があるぐ
らい好評でした。6年生でも、「こんなおもしろいゲームは
やったことない。」と大好評でした。







 開発研究助成のおかげで、複数のパソコンで家庭内LANをつくり、動作を一つ一つ確かめながら作成することが
できました。また、デジタルカメラで、画面をきれいにすることができました。ありがとうございました。