小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育の在り方
代表 横山 隆光
(1) 高校生の実態調査から
(2) 小中学校教師の実態調査から
(3) 高等学校・特殊教育学校教師の実態調査から
小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育の在り方
横山 隆光
携帯電話でホームページを閲覧したり,掲示板に書き込んだり,メールを利用したりする生徒が多くなり,保護者や学校が児童生徒の利用状況を常時把握することは困難になっている。また,日常生活において児童生徒が利用する各種メディアの提供する情報等には人格形成に悪影響を及ぼすおそれがあることが指摘されており,各種メディアの利用に対しての指導も必要となってきている。さらに,児童生徒のネットワーク等の安全な利用についての指導は,小学校・中学校・高等学校が別々に実施していることが多く,小中高等学校一貫した指導が求められている。このような現状に対しての児童生徒の実態をつかむとともに,指導する側の教師の意識と実態をつかんで,あらゆる機会を通して,小中高等学校が連携して指導を行っていく必要がある。そこで,我々は2年間の研究で,次のことを行った。
@情報モラルに関わる中学校と高等学校用の実態調査の項目を決定し,調査を実施
A情報モラルに関わる高等学校の調査結果を分析し,小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育のためのデータとして蓄積
B調査を行った高等学校では,調査結果を基に2学期より1年生に対する情報モラルの指導を実施
C県教育委員会が実施・公表した小中学校教師の実態調査,高等学校・特殊教育学校教師の実態調査結果を分析し,児童生徒の実態調査の分析等から,情報モラル教育において考慮すべき事項の洗い出し
D情報モラル教育で扱うべき内容等を盛り込んだ小・中・高等学校一貫した指導計画の作成
E小・中・高等学校一貫した指導計画に基づいた授業実践に必要な実践事例を登録・閲覧するシステムを開発し,情報モラル指導事例Webページを公開
F県教育委員会の研修講座と連携して,受講者を中心に実践事例を登録し,登録された事例を講座や現場での実践に活用
その結果,小・中・高等学校一貫した指導計画に基づいた実践を始めた学校では,指導しなくてはならない内容が明らかになるとともに,授業実践を行うための教材や指導事例が不足していることが課題となっている。特に,メディアリテラシーに関わる教材や研修が必要であることがわかってきた。また,道徳・教科等との関連では,情報モラル教育の時間数を単に増やすのではなく,情報モラル教育に関わる道徳・教科等の内容とつないで指導できるよう情報モラル教育・道徳・教科等の授業展開等を工夫する必要があり,情報モラル指導事例の収集をさらに増やしていく必要がある。
情報モラル指導事例Webページの活用では,教職経験の少ない3年目の教師による活用が進んでいる。指導事例の登録にあたっては,研修講座との連携を図ることで,研修の充実と指導事例の蓄積・利用が同時に達成されている。しかし,収集が進むにつれて同種の実践が増え,検索しにくくなることが予想され,指導事例の整理・削除の方法を検討していく必要がある。
情報通信ネットワーク社会においては,人が培ってきた倫理やモラルが不易な価値観として必要であり,私たちが生活を営んでいる社会や人間関係におけるマナーやエチケット,人権の尊重や社会的規範の尊重,法治国家における順法精神などが大切なことである。情報通信ネットワーク社会では,これらに加えて,すでにもっている倫理観をさらに高めるとともに,情報モラル(情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度)を養うことが必要となってくる。
情報機器等の発達とともにネットワーク利用犯罪の種類が多岐に渡り,件数も増加の一途をたどっている。ネットワーク上には有益な情報がある一方,有害な情報もあるため,児童・生徒の犯罪被害等が憂慮されている。そこで,児童生徒がネットワーク等を利用する場合には,情報化の光の部分だけでなく情報化の影の部分についても理解させ,被害者あるいは加害者にならないよう指導することが大切である。児童生徒がネットワークを利用する上で大切にしなければならない基本的な考え方は,相手を思いやることと自分の身は自分で守ることの2つである。相手を思いやることについては,ネットワークにつながっている情報機器の向こうには自分と同じ人間がいることを意識させ,相手のことを考えて利用する態度を育てることが必要である。自分の身は自分で守ることについては,ネットワークに潜んでいる危険の種類やその手口について事例を示しながら理解を深めさせることが必要である。危険なサイトにはアクセスしないことや,そのようなサイトにアクセスしてしまったらどのように対処したらよいのか等について,より多くの疑似体験をさせる指導が重要である。児童生徒にネットワークなどの情報通信手段を安全に利用するためのマナーを身につけさせるために一番重要なものは教育であり,教育が最大のセキュリティ対策である。
県内の小中高等学校では,児童生徒のネットワーク等の安全な利用について,カリキュラムを策定し計画的に指導を行っている。また,岐阜県総合教育センター等では,小中高等学校の教職員に対して情報モラルに関わる教員研修を実施している。しかし,児童生徒のネットワーク等の安全な利用についての指導は,小学校,中学校,高等学校がそれぞれで作成したカリキュラムで実施しており,小中高等学校一貫した体系的なカリキュラムによる指導が求められている。また,家庭に対しては,県は岐阜県総合教育センターのホームページ等で情報モラルの育成等の啓発を行っており,各学校においてもPTA総会等で児童生徒のネットワーク等の安全な利用についての啓発を行っている。しかし,インターネットを利用する際のモラルやマナーについての家庭での教育は必ずしも十分ではない。また,携帯電話でホームページを閲覧したり,掲示板に書き込んだり,メールを利用したりする生徒が多くなってきており,保護者や学校が児童生徒の利用状況を常時把握することは困難である。さらに,日常生活において児童生徒が利用する各種メディアの提供する情報等には人格形成に悪影響を及ぼすおそれがあることが指摘されており,各種メディアの利用に対しての指導も必要となってきている。このような現状に対して,児童生徒の実態をつかむとともに,指導する側の教師の意識と実態をつかんで,あらゆる機会を通して,小中高等学校が連携して指導を行っていく必要がある。
そこで,本研究では,「小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育の在り方」について究明し,その成果をWeb上で公開して学校からの活用を図ると供に,教員研修に活かして教師の指導力の向上を図ることを目的とする。
我々は本研究を進めるにあたって,小中高等学校の実態を調査し,調査結果に基づいて小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育の在り方について議論を始めることにした。
(1) 高校生の実態調査から
@調査時期等
調査対象 県内高校1〜3年生
調査時期 2004.7.
有効回答数 610人
調査方法 質問紙法
質問項目(一部)
学校で : C 学校のE-mailに迷惑メールが届いたことが何回ぐらいありますか。 D 学校のE-mailで迷惑メールや不審メールに返信したことが何回ぐらいありますか。 E 学校のパソコンで掲示板に,個人的な書き込みをしたことが何回ぐらいありますか。 : |
家庭で : C 家庭のE-mailに迷惑メールが届いたことが何回ぐらいありますか。 D 家庭のE-mailで迷惑メールや不審メールに返信したことが何回ぐらいありますか。 E 家庭のパソコンで掲示板に,個人的な書き込みをしたことが何回ぐらいありますか。 F 家庭のパソコンで知らない人とチャットをしたことが何回ぐらいありますか。 G 家庭のパソコンでネットゲームをしたことが何回ぐらいありますか。 : |
A実態
生徒のインターネット利用時間は,学校でのコンピュータ利用時間(図1)より,家庭でのコンピュータ(図2)や携帯電話(図3)を利用している生徒の割合が多い。また,生徒の中には,インターネットを利用したネットゲーム,ショッピング,オークションに家庭のコンピュータや携帯電話で利用している者もいる(図4,図5)。
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2年生「教科情報」では,「迷惑メールや不審なメールについては返信しないこと」「掲示板への個人的な書き込みはくれぐれも注意をすること」「知らない人とのチャットはしない方がよい」などの指導を行っている。しかし調査結果から,家庭のコンピュータで「迷惑メールや不審なメールに返信する」生徒は,月に1回が1%,一日に何回か返信する生徒が1%いることがわかった。また,携帯電話では,月に1回が2%,週に1回が3%,一日に何回か返信する生徒が1%いることがわかった(図6,図7)。
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月に1回〜1日10回以上の掲示板への個人的な書き込みを行っている生徒は全体の14%である(図8)。クロス処理から,返信メールをする生徒の多くが,掲示板で個人的な書き込みをしている。知らない人とのチャットは,家庭のコンピュータの場合10%(図9),携帯電話で5%である。1年生に限って調べると,家庭のコンピュータを使った知らない人とのチャットは14%である。「教科情報」は2年生で学習するため,1年生から情報モラルについて学習し,正しい情報活用・インターネット活用を指導していく必要があることがわかった。また,中学校の段階から,掲示板やチャットの危険性や利用の仕方について指導しておく必要があることもわかった。特に,今回調査した生徒の84%が所有している携帯電話の場合,利用する生徒が多いにもかかわらず,学校や保護者が利用状況をつかむのが困難であり,ルールやマナーなどについて小学校の段階から指導しておく必要がある。今回の調査から,インターネットやコンピュータ,特に携帯電話が生徒の身近な道具となっており,これらの利用について,教科情報だけでなく,保護者の理解や協力を得ると同時に,小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育が重要である。しかし,小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育は,指導計画や教材,指導のための事例がまだ十分整備されておらず,今後,生徒の実態を継続して追跡すると同時に,高等学校での指導法や小中高等学校連携した情報モラルの指導についての研究を進めていく必要がある。
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(2) 小中学校教師の実態調査から
@調査時期等
調査対象 県内小中学校の教諭
調査時期 2004.6.
有効回答数 10,625人
調査方法 質問紙法 (この調査は岐阜県教育委員会が実施,公開された。)
質問項目(一部)
情報モラルという言葉は,中学校学習指導要領(技術・家庭)や高等学校学習指導要領(看護,情報,福祉等)に記載されており,小学校学習指導要領では,第1章 第5 (8)にあたります。また,情報モラルは,著作権等の知的所有権,個人情報やプライバシー,マナーやルール,セキュリティー,情報リテラシーといった多くの内容を含んでいます。そして,情報モラルは,情報倫理とも訳されるように,ネットワークの世界でモラルを確立するためには「よい人」を育てることが大切であるといわれており,情報モラルは全ての教育課程に関わる内容です。岐阜県では,情報モラルに関わる研修講座(3年目研修,授業活用等)を実施すると共に,情報モラルの育成等に役立つ資料をWeb上で提供しています。次の項目に回答してください。 (7)あなたは情報モラルの内容について知っていますか。 @よく知っている A少し知っている Bあまり知らない C知らない (8)あなたは情報モラルにつながる,「相手を思いやる心」「信頼」「謙虚な心」等の指導を普段から行っていますか。 @常に行っている A学級の実態にあわせて行っている B行っていない (9)あなたは,インターネット上の掲示板やチャットがどんなものか知っていますか @よく知っている A少し知っている Bあまり知らない C知らない (10)あなたは,学級,または,学校の児童生徒の家庭でのチャットや掲示板等の利用について把握していますか。 @している A少ししている Bあまりしていない Cしていない (11)あなたは,学校で掲示板を利用した授業を行ったことがありますか。 @ある Aない (12)あなたは,コンピュータを使った授業で,児童生徒の画面を常にチェックしていますか。 @している A少ししている Bあまりしていない Cしていない (13)あなたは,保護者に対して情報モラルや情報化の影の部分への対応について伝える努力をしていますか。 @している A少ししている Bあまりしていない Cしていない
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A実態
情報モラルの内容について「よく知っている」または「少し知っている」と回答した教師は64%であり(図10),情報モラルにつながる「相手を思いやる心」「信頼」「謙虚な心」等の指導を「常に行っている」または「学級の実態にあわせて行っている」と回答した教師は88%である(図10)。また,コンピュータを使った授業で,児童生徒の画面を常にチェック「している」または「少ししている」と回答した教師は72%である(図12)。多くの教師は,情報モラルにつながる「相手を思いやる心」「信頼」「謙虚な心」等の指導を行っており,コンピュータを使った授業において教師の指導のもとで情報の収集や発信が行われている。しかし,情報モラルの内容について「知らない」「あまり知らない」と回答した教師が36%であり,「相手を思いやる心」「信頼」「謙虚な心」等の指導と情報モラルの指導とをうまくつないでいないことが示唆される。学校での指導の時間は限られており,情報モラルの指導の時間も限られている。そこで,道徳や特別活動などにおける「相手を思いやる心」「信頼」「謙虚な心」等の指導と,コンピュータや携帯電話等の情報機器の利用とを効果的につないで指導していく必要がある。
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特に小学校では低学年から,相手のことを考えて話したり,話し手の気持ちを考えて聴いたりするといった基本的な生活習慣や学習習慣に関わる指導を行っている。低学年の児童がコンピュータや携帯電話等の情報機器の利用する機会は少ないが,調査からもわかるとおり,やがて中学生・高校生になると学校以外で情報機器を利用するようになる。従って,指導する教師が情報モラルに関わる研修を進め,小中高等学校での指導の関わりを理解した上で,相手のことを考えた情報発信ができるよう小学校のうちから計画的に指導していく必要がある。
インターネット上の掲示板やチャットについて「よく知っている」または「少し知っている」と回答した教師は68%であり(図13),掲示板,チャットやメール等によって,子どもたちが被害に遭っていることを知っている教師は79%である(図14)。掲示板やチャットを体験したことのある教師は31%と少ない(図15)。情報化の影の部分については,県内学校への通知や研修等が進められており,知っている教師が多い。また,中学校では技術・家庭科や総合的な学習の時間等,小学校では総合的な学習の時間等において,情報モラルの指導をカリキュラムに位置づけているため,多くの教師が被害や対処方法について知っている。しかし,掲示板やチャットの体験については,学校のコンピュータはフィルタリングにより有害な掲示板やチャットを閲覧できなく,また,自由に書き込みが体験できるチャットが少ないなどにより経験したことがない教師が多い。
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携帯電話等によるメールやインターネット利用については,学校以外,特に家庭で利用が多いため,情報モラルや情報化の影の部分への対応については保護者の姿勢が被害の防止のために重要である。しかし,家庭によっては,情報モラルや情報化の影の部分についての関心が薄く,十分な対応がとられていない場合もある。学校では,PTA総会や懇談,PTA研修などで保護者への啓発を図っている場合もあるが,限られた時間で全てを伝えることはできない。つまり,学校だけで保護者に対して情報モラルや情報化の影の部分への対応について伝えるには限界があり,マスメディアを含む関係機関によって保護者や地域への啓発を行っていく必要がある。もとより,家庭等でのインターネット利用は保護者の監視・確認のもとで行われるのであるが,危険性などについては行政を含む関係機関との連携が必要である。
(3) 高等学校・特殊教育学校教師の実態調査から
@調査時期等
調査対象 県内高校・特殊教育学校の教諭
調査時期 2004.6.
有効回答数 2,839人
調査方法 質問紙法 (この調査は岐阜県教育委員会が実施,公開された。)
質問項目(一部)
( 1)校内LANや学校間総合ネットを含めて,ネットワーク上の掲示板を閲覧したことがありますか? ( 2)校内LANや学校間総合ネットを含めて,ネットワーク上の掲示板に書き込みをしたことがありますか? ( 3)校内LANや学校間総合ネットを含めて,ネットワーク上のチャットを見たことがありますか? ( 4)校内LANや学校間総合ネットを含めて,ネットワーク上のチャットに参加したことがありますか? ( 5)ネットワーク上の掲示板やチャットに匿名で書き込んでも,通信履歴等をたどることで,誰が書き込んだかがほぼ特定可能なことを知っていますか? … (12)自分は「情報モラル」という言葉の意味を正しく理解できていると思いますか? (13)高等学校段階で,情報モラルに関わる事項について,指導を行う必要性を感じますか? (14)保護者に対して,学校における児童・生徒の情報通信ネットワークの利用状況について,説明を行う必要性を感じますか? (15)保護者に対して,情報通信ネットワークを利用する際の注意事項等について,説明を行う必要性を感じますか?
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A実態
「相手を思いやる心」「謙虚な心」「規範意識」などの指導を普段から心がけている教師は89%であり(図16),情報モラルの指導の必要性を感じている教師は86%である(図17)。高等学校・特殊教育学校においても小中学校と同様,多くの教師は「相手を思いやる心」「謙虚な心」「規範意識」などの指導を行っており,情報モラルの指導の必要性を感じている。また,生徒のコンピュータや携帯電話でのインターネット利用は,学校以外での利用が多いことから,55%の教師が,保護者に対して情報通信ネットワークを利用する際の注意事項等について説明を行う必要性を感じている(図18)。
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しかし,校内LANや学校間総合ネット(県内の小中高等学校,特殊教育学校,一部の大学と教育関係機関を結ぶ高速のイントラネット)を含めて掲示板を閲覧したことがあると回答した教師は71%(図19)と比較的多いが,実際に掲示板に書き込みをしたことがある教師は24%(図20)と全体の1/4である。また,校内LANや学校間総合ネットを含めてチャットを見たことがあると回答した教師は23%(図21)であり,実際にチャットに参加したことのある教師は9%(図22)しかいない。
掲示板を見たことのある教師は多いものの掲示板に書き込みをしたことがある教師は少ない。これは,公的機関のホームページには掲示板を開設しているところもあるため学校からでも掲示板を閲覧する機会はあるが,普段の教育活動や生活の中で教師が掲示板に書き込む必要がないからである。また,チャットを見たり体験したりした教師は少ない理由は,学校間総合ネットにはフィルタリングソフトが導入されていて学校間総合ネットに接続されている高等学校,特殊教育学校からは,チャットを閲覧できなかったり利用できなかったりするからである。
しかし,携帯電話から利用できる掲示板の中には,県内全ての中高等学校の掲示板が準備されているサイトがある。このような掲示板への書き込みには誹謗や中傷,いわれのない噂等が書かれているものもあり生徒指導上の問題になっている。また,ネット上の対戦ゲームの掲示板やチャットを家庭から利用している生徒もおり,生徒が簡単に利用できる掲示板やチャットが増えている。これらの利用については学校での指導も行っているが,生徒は学校外で利用しているため,保護者や関係機関との連携が必要になっている。掲示板やチャットについては,便利な面もあるが,問題も指摘されている。掲示板やチャットをよく知った上で,指導に役立てる必要がある。
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「情報モラル」という言葉の意味を正しく理解できていると思う教師は41%であり,ネットワーク上の掲示板やチャットに匿名で書き込んでも通信履歴等をたどることで,誰が書き込んだかが,ほぼ確定できることを知っている教師は45%である。「情報モラル」が指し示す内容は一般的に,情報リテラシー,マナーやルール(ネチケット),個人情報・プライバシー,知的所有権(著作権など),セキュリティー(コンピュータ)など多岐に渡る。そして,情報モラルに関わって,著作権をめぐる訴訟,ネット詐欺,掲示板・チャット等による人間不信等のさまざまな問題が起こっている。これらの危険から身を守ったり加害者になったりしないように指導をするためには,情報モラルに関わる研修を適宜行っていく必要がある。研修の内容として,@掲示板やチャットに匿名で書き込んでも,通信履歴をたどれば,どのパソコンから送信されたデータか,特定することが可能であり,匿名であっても,無責任な書き込みを行うと,個人が特定され責任追及がなされることがあることA有害サイトへのアクセスは,そのアクセス履歴をもとに個人情報が漏洩し,悪用されることがあること,B加害者になった場合,民事上や刑事上の様々な処罰を受けることがあることについても研修の内容に含める必要がある。
情報モラルに関わる犯罪被害や情報モラルに係る実態調査とその分析等から,情報モラル教育において扱わなくてはならない内容がはっきりとしてきた。しかし,その内容が多岐に渡るのに対し,小学校,中学校,高等学校のカリキュラムでは、情報モラル教育に費やす時間は限られている。また,小学校・中学校・高等学校における情報モラル教育は,それぞれの学校で作成されたカリキュラムに従って実施されており,小学校・中学校・高等学校間で指導内容が重複したり十分に指導されなかったりする事態が生じている。さらに,小学校・中学校・高等学校における情報モラル教育の内容が明確になっていないため,現状のカリキュラムでは情報モラル教育で扱わなくてはならない内容全てに対応することは難しいと思われる。情報モラル教育は,小学校・中学校・高等学校で指導しなくてはならない内容を明確にし,小中高等学校一貫した体系的で効率的なカリキュラムで実施される必要がある。これまでの情報教育では情報化の光の部分はよく指導されており,小中高等学校一貫して指導する必要性の増している影の部分をバランスよく計画的に指導していく必要がある。そこで,我々は,調査結果や問題点等の分析をもとに,学校教育で扱わなくてはならない情報モラル教育の内容を整理した。現在実施されている情報教育の改善と小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育にとって考慮すべき事項は以下のとおりである。
考慮すべき事項
(1)児童生徒に付けるべき力として特に取り上げる必要があるもの
@児童生徒が情報機器を扱う場合,表示された内容はいつも正しく,入力した情報は他にもれないと容易に信じてしまい,情報の受発信に関わる危険性をまったく認知していない場合がある。まして,高度情報社会においては悪意のある他者による詐称が高度になり,情報を意図的に操作したりねつ造したりすることが簡単にできるようになっているため,児童生徒が日常生活の中で家庭にいながら被害者となったり,自覚のないまま加害者となってしまうことがある。これらの被害を防ぐには,情報モラルの指導だけでは不十分であり,情報に対する的確な判断力を身に付けることが必要である。
A発達段階に応じて,小学校での指導の上に立って中学校技術分野「情報とコンピュータ」で情報伝達のハード面についての基礎的な知識を習得しながら,スキミングなど情報機器そのもののハードウェアの取り扱い方や危険性を知って利用する力を付ける等,ハードウェアに関する情報モラルの育成を図っていく必要がある。
B中学生・高校生になると携帯電話等の情報端末を所有する割合が高くなり,定額制等のサービスの普及に伴い携帯電話を日常的に利用する中学生・高校生が増えている。メールや掲示板への書き込み等は,匿名で行う場合がほとんどであり,匿名性故の無責任さや悪意をもった書き込みや情報発信がなされる場合もある。これらの危険性を知った上で,児童生徒に対する心の教育がますます重要となる。
C一人一人の児童生徒が情報機器を活用して学習活動を行い,調査,実験,実習や問題解決を行い,時間を確保して,体験を通して情報機器の有用性とともに機器を利用する際に気をつけることを学んでいくようなカリキュラムが大切である。
(2)学校間等の連携と指導計画について
D情報モラルは情報機器を利用するときにだけ関係する特別な内容であるといった教師の意識ではなく,既に私たちが生活している情報化社会における知っていて当然のモラルの問題として,関連する教科等で扱うべきである。
E小学校では,学校生活において体験を通した心の教育を重視し,情報モラルとの連携を考えながら指導する必要がある。情報モラルに関わる指導は,現状においても,教科,道徳,特別活動において,それぞれなされているが,関連づけて指導したり,体験とつないだりするような連携は取れてはいない。道徳で高められた価値観,教科や総合的な学習の時間で学んだ情報機器の扱い方や利用方法等,学級活動や帰りの会等で指導する相手の気持ちを考えた話し方や聴き方等を関連づけながら,体験を通して小学校1年生の段階から指導していく必要がある。
F小学校では,各教科等の指導に当たって,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,適切に活用する学習活動を充実するとともに,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ることが求められている。小学校においては,情報手段に慣れ親しみ,適切に活用する学習活動を充実に主眼をおいて,情報モラルの指導に関わる時間を増やすとともに,教科,道徳,特別活動に情報モラルに関わる内容を関連づけ,1〜6年生の指導計画に位置づける。また,評価の仕方を明確にし,この評価を中学校に引き継ぐようにする。情報化の影の部分への対応や情報モラル等の指導を指導計画・評価計画の中に位置づけて,危険性の認知や人に迷惑をかけないことについては,小学校低学年の段階から計画的に指導を行っていく必要がある。
G情報機器を使った学習を常に情報機器の扱いが堪能な教師に任せてしまうのではなく,どの教師もが情報機器を利用した方が効果的な場面においては積極的に授業で情報機器を活用し,必要に応じて計画的に情報モラル教育を行うことが必要である。特に小学校において,情報モラル教育を一部の教師に任せるのではなく,どの教師も適切に,体験を通しながら実施していくことが大切である。
H多くの教師が情報モラルに関するカリキュラムづくりと家庭への啓発活動が必要だと考えており,そのためのカリキュラムを小中高等学校の教師が連携して作成する必要がある。ここで,問題になるのが情報モラル教育の学校間格差である。同じ小学校同士でも学校によってネットワーク環境,教師の知識・技能,カリキュラムが異なっており,これらの学校から中学校に進学した生徒には技能面・知識面・意識面において差が見られる。そこで,それぞれの学校での指導内容がわかるように学校もしくは市町村教育委員会ごとにWeb上で公開するといったような仕組みがあり,学校間においてその差を少なくしたり,その差を知った上で情報モラル教育が展開されたりすることが必要である。
(3)研修の充実
Iほとんどの教師が情報モラルにつながる「相手を思いやる心」「信頼」「謙虚な心」等の指導を行っていると回答しているのに対して,情報モラルの内容について知っていると回答する教師が少ないことから,連携の必要性とともに情報モラルについての研修を深めることが必要である。
J情報モラルの中で,掲示板への書き込み,チャットの参加,セキュリティー対策等について,体験していない教員が多く,指導する以前に,それらの危険性を認識し,その危険性を回避する方法を知り,危険性を回避するための指導法を工夫する必要がある。また,教師の体験が少ないものについての研修コースやプログラムの充実が必要である。
K携帯電話の操作やウェブサイトの閲覧・利用,携帯端末を利用した決済等,児童生徒の知識・技能が教師を上回っている場合がある。これらのハード面やソフト面,サービス体制の進歩はめざましいものがあり,機器操作やアプリケーションの利用等においては,教師がその取り扱いに熟練してから指導すると言うより,児童生徒とともに操作方法を学んだり,利用方法を試したりしながら学習を進めており,この方法は主体的に児童生徒が学習に取り組むといった面で成果を上げている。情報モラルについても同様な傾向が見られ,一方で教師の研修を進めながら,一方で体験を通して児童生徒ともに危険性について学習したり,適切な利用法を考えたりすると言った児童生徒の発達段階を考えた指導体系を検討していく必要がある。
(4)地域・家庭との連携
L有害サイトへのアクセスを制限したり,保護者へフィルタリングソフトの導入を促したりして有害な情報に容易に近づけないようにすることも必要であるが,一般のインターネット端末や携帯電話等から簡単に有害サイトにアクセスすることができ,児童生徒がこれらを利用して有害サイトにアクセスするようなことが起こっている。インターネット等を介して情報メディアから有害な番組を視聴することも簡単にできるようになり,学校教育だけでこれらに対応することは困難である。学校での情報モラル教育,家庭での指導,行政や民間での対応を明確にして,啓発を進めるとともに連携を図っていく必要がある。
小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育の指導内容は,情報に関わる時間でのみ扱われるものではなく,道徳,教科,総合的な学習の時間等においても扱われるものである。小学校低学年において,「直接体験やメディアから大切な情報に気づくことができる。(文章,図書,映像,音声,インタビュー等)」「自分の考えを絵図や文章に書き表すことができる。(伝えたいことがわかる語や文の接続,絵図)」「自分の考えや気持ちを話したり書いたりして伝えることができる。(伝えたいことを順序よく話す,聴き取りやすい声の大きさで話す,発表や話を聞き取る)」ことは,教科の指導だけでなく学校生活全般において指導していることである。「自分の考えが相手によくわかる話し方をする」「話している人の言っていることがよくわかる集中した聞き方をする」「聞いている人の気持ちを考えた話し方をする」「話している人の気持ちを考えた聞き方をする」「相手を考えた言葉遣いをする」等は,従来より小学校低学年から指導していることであり,これらが基礎となって中学校や高等学校における様々な学習活動を支えていると言える。つまり,教科や学校生活全般において指導されている事柄を指導する教師の意識の中で,これらを情報モラル教育に関わる内容として関連づけ,上の学年において指導される情報教育の内容につながるものとして体系的にとらえることが必要である。そのためには,情報モラル教育で扱われる内容だけでなく,道徳・教科等において扱われる内容との関連がわかる指導計画が作成される必要がある。また,小中高等学校一貫した指導計画となるよう,体系的に記述する必要がある。そこで,「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」「指導内容」「育てたい力」「道徳・教科等との関連」の項目に分けて,これらの内容を整理し,小中高等学校一貫した指導計画を作成した(表1−1,1−2)。この小中高等学校一貫した指導計画には,現在実施されている情報教育の改善と小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育にとって考慮すべき事項をできるだけ反映させた。
小中高等学校一貫した指導計画に記述した内容全てを実施しようとすると,現行の学習指導要領の時間数を上回ってしまう。そこで,現在,この小中高等学校一貫した指導計画に基づいて実証実験を行っている学校では,これらの内容を教科や総合的な学習の時間だけでなく,帰りの会や課外等でも扱っている。
情報活用の実践力 | 情報の科学的な理解 | 情報社会に参画する態度 | ||
小 学 校 |
低 学 年 |
直接体験やメディアから大切な情報に気づくことができる。 (文章,図書,映像,音声,インタビュー等) 自分の考えを絵図や文章に書き表すことができる。 (伝えたいことがわかる語や文の接続,絵図) 自分の考えや気持ちを話したり書いたりして伝えることができる。 (伝えたいことを順序よく話す,聴き取りやすい声の大きさで話す,発表や話を聞き取る) |
様々なメディアを視聴したり,体験したりして,メディアのよさに気づく。 (ビデオ,コンピュータ,具体物の提示,動画と制止画) | 人と関わって生活するときのマナーを知り,守ろうとする。(公共物の使い方,相手のことを考えた発し方と聴き方,話し合いのルール,基本的学習習慣) |
中 学 年 |
目的に合わせて取材したり,メディアから必要な情報を見つけたりして,メモや写真等で記録したり,コピーしたりして収集することができる。(対象に応じたメディアの選択,インタービューの仕方) 自分の考えや思いを絵図,写真,文章でまとめることができる。(読み手や聞き手にわかりやすい筋道の通った文章,新聞づくり) 自分の考えを筋道立てて文章に書き表し,話すことができる。(主張点がわかりやすい話し方,相手の伝えたいことを考えながら聴く,進んで話し合いに参加する。) |
いくつかのメディアを使い,体験を通して,メディアのよさや特性がわかる。(デジタルカメラ,CDラジカセ,ICレコーダー,実物投影機,ビデオカメラ) |
情報は人に影響を与えることを知る。 情報を選んだわけが言える。 自分の考えと違う考えがあることを知る。 他の人の情報のよいところを見つける。 情報には正しいものと誤ったものがあることがわかる。 |
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高 学 年 |
情報収集の手段を選択し,多くの情報の中から必要な情報を集めることができる。(メディアの種類に応じた調べ方,メディアを活用して収集した情報を整理・分類・加工する) 考えたことや思いをわかりやすく伝えるために,機器の特性を生かしてまとめることができる。(メディアの特性にあったまとめ方) 目的にあったメディアを選択して,わかりやすく情報を伝えることができる。(効果的な表現,計画的に話し合う) |
様々なメディアの特性とその効果がわかり,適切なメディアを選び,活用できる。(スキャナ,画像ファイル,校内LAN) |
情報は人に影響を与えることを知って情報を発信する。 情報が正しく伝わったのかを確かめる。 他の情報を収集して自分の情報を改善する。 事実と考えを区別する。 他の人の考え方には自分の考え方と異なるものがあることを知る。 収集した情報が間違っていないか疑う。 情報には発信した人の意図が含まれていることを知る。 |
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中 学 校 |
課題を解決するため,様々なメディアの中から必要とする情報を収集・選択し,分析・整理することができる。(メディアの特性に合った情報収集,収集した情報の分析・整理・理解) 整理した情報を目的に応じて加工し,相手にわかりやすいようにメディアを選択して編集し,まとめることができる。(目的にあったメディアの選択と活用,メディアにあった情報の編集・加工) ネットワークを活用したり,目的にあったメディアを選択したりして,必要に応じて情報を送受信したり,コミュニケーションを深めたりできる。(相手の立場を尊重する話し合い方,目的に沿って効果的に展開する話の進め方と聴き方) コンピュータの基本的な構成と機能を知り,操作ができる。 ソフトウェアを用いて,基本的な情報の処理ができる。 情報を収集,判断,処理し,発信ができる。 ソフトウェアを選択して,表現や発信ができる。 プログラムの機能を知り,簡単なプログラムの作成ができる。 コンピュータを用いて,簡単な計測・制御ができる。 |
メディアを適切に選択し,学習で効果的に活用して,特性を実感できる。 簡単なネットワークの仕組みと特性が理解できる。(メディアの組み合わせ,ネットワーク活用,効果的なプレゼンテーション,プロジェクタ,インターネットの仕組み) 情報手段の特徴や生活とコンピュータとのかかわりについて知る。 ソフトウェアの機能を知る。 コンピュータの利用形態を知る。 情報の伝達方法の特徴と利用方法を知る。 マルチメディアの特徴と利用方法を知る。 |
情報の真偽を判断して行動する。 課題について収集した情報を根拠にして話し合う。 評価をもとに情報を修正する。 結論に至った論理的な考え方と事実を示す。 情報を批判的に見る。 発信した情報の影響を評価する。 情報を客観的に評価する。 |
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高 等 学 校 |
情 報 A |
情報通信ネットワークやデータベースなどの活用を通して,必要とする情報を効率的に検索・収集する方法を習得する。 収集した多様な形態の情報を目的に応じて統合的に処理する方法を習得する。 |
問題解決を効果的に行うためには,目的に応じた解決手順の工夫とコンピュータや情報通信ネットワークなどの適切な活用が必要であることを理解する。 情報を的確に伝達するためには,伝達内容に適した提示方法の工夫とコンピュータや情報通信ネットワークなどの適切な活用が必要であることを理解する。 情報を効果的に発信したり,情報を共有したりするためには,情報の表し方に工夫や取決めが必要であることを理解する。 コンピュータの機能とソフトウェアとを組み合わせて活用することを通して,コンピュータは多様な形態の情報を統合できることを理解する。 情報機器の発達の歴史に沿って,情報機器の仕組みと特性を理解する。 |
情報通信ネットワークやデータベースなどを利用した情報の収集・発信の際に起こり得る具体的な問題及びそれを解決したり回避したりする方法の理解を通して,情報社会で必要とされる心構えについて考える。 情報化の進展が生活に及ぼす影響を身のまわりの事例などを通して認識し,情報を生活に役立て主体的に活用しようとする心構えについて考える。 個人が情報社会に参加する上でコンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に使いこなす能力が重要であること及び将来にわたって情報技術の活用能力を高めていくことが必要であることを理解する。 |
情 報 B |
身のまわりの現象や社会現象などを通して,モデル化とシミュレーションの考え方や方法を理解し,実際の問題解決に活用できる。 情報を蓄積・管理するためのデータベースの概念を理解し,簡単なデータベースを設計し,活用できる。 |
問題解決における手順とコンピュータの活用問題解決においては,解決の手順と用いる手段の違いが結果に影響を与えること及びコンピュータの適切な活用が有効であることを理解する。 コンピュータを適切に活用する上で知っておくべきコンピュータによる情報処理の長所と短所を理解する。 文字,数値,画像,音などの情報をコンピュータ上で表す方法についての基本的な考え方及び情報のディジタル化の特性を理解する。 コンピュータの仕組み,コンピュータ内部での基本的な処理の仕組み及び簡単なアルゴリズムを理解する。 コンピュータを活用して情報の処理を行うためには,情報の表し方と処理手順の工夫が必要であることを理解する。 |
情報通信と計測・制御の仕組み及び社会におけるそれらの技術の活用について理解する。 情報技術を導入する際には,安全性や使いやすさを高めるための配慮が必要であることを理解する。 情報技術の進展が社会に及ぼす影響を認識させ,情報技術を社会の発展に役立てようとする心構えについて考える。 |
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情 報 C |
情報機器を活用して多様な形態の情報を統合することにより,伝えたい内容を分かりやすく表現する方法を習得する。 電子メールや電子会議などの情報通信ネットワーク上のソフトウェアについて,コミュニケーションの目的に応じた効果的な活用方法を習得する。 身のまわりの現象や社会現象などについて,情報通信ネットワークを活用して調査し,情報を適切に収集・分析・発信する方法を習得する。 |
コンピュータなどにおける,文字,数値,画像,音などの情報のディジタル化の仕組みを理解する。 身のまわりに見られる情報機器について,その機能と役割を理解するとともに,ディジタル化により多様な形態の情報が統合的に扱えることを理解する。 情報通信ネットワークの仕組みとセキュリティを確保するための工夫について理解する。 情報伝達の速度や容量を表す単位について理解させるとともに,情報通信を速く正確に行うための基本的な考え方を理解する。 |
多くの情報が公開され流通している実態と情報の保護の必要性及び情報の収集・発信に伴って発生する問題と個人の責任について理解する。 社会で利用されている代表的な情報システムについて,それらの種類と特性,情報システムの信頼性を高める工夫などを理解する。 情報化が社会に及ぼす影響を様々な面から認識させ,望ましい情報社会の在り方を考える。 |
情報モラル教育 | 道徳・教科等との関連 | ||
指導内容 | 育てたい力 | ||
自分の考えが相手によくわかる話し方をする。 話している人の言っていることがよくわかる集中した聞き方をする。 聞いている人の気持ちを考えた話し方をする。 話している人の気持ちを考えた聞き方をする。 相手を考えた言葉遣いをする。 相手の気持ちを考えた表現をする。 コンピュータ室の使い方と約束 テレビやコンピュータ,ゲームとのつきあい方 学級での話し合い など |
自分の言いたいことを絵図,文章で書く(表現)。 自分の言いたいことをわかりやすく話す(表現)。 話の内容がよくわかる聞き方ができる(技能・判断)。 発表している友達の持ちを考えて聞くことができる(態度)。 見つけた事実とその事実から考えたことを区別して書いたり,話したりする(判断)。 自分で確かめた事実と他の人から聞いた事実の区別ができる(判断)。 |
よいことと悪いことの区別をし,よいと思うことを進んで行う(道徳)。 うそをついたりごまかしをしたりしないで,素直に伸び伸びと生活する(道徳)。 気持ちのよいあいさつ,言葉遣い,動作などに心掛けて,明るく接する(道徳)。 みんなが使う物を大切にし,約束やきまりを守る(道徳)。 学校たんけん・町たんけんの取材の約束(生活科) 鑑賞するときの約束(図工) 遠足の約束(行事) |
小 学 校 ・ 低 学 年 |
目的に合わせて取材したり,メディアから必要な情報を見つけたりして,メモや写真等で記録したり,コピーしたりして,必要な情報を収集する(調べ学習など)。 個人情報の大切さを知る。 他人の情報を大切にする。 情報提供者に感謝する。 デジタルカメラの使い方と撮った写真は許可を得て利用 インターネットと有害サイト IDとパスワードの利用・個人情報やパスワードは教えない |
必要な情報を収集する(判断)。 正確な情報を収集する(判断)。 きちんと説明できる事実であることがわかる(判断)。 事実とその人の考え方を区別する(判断)。 書いていることや話していることが正確であるか判断する(判断)。 自分の考えや思いを絵図,写真,文章でまとめる(技能・判断・表現)。 自分の考えを筋道立てて文章に書き表し,話す(技能・判断・表現)。 情報には送り手と受け手があることに気づく(理解)。 |
よく考えて行動し,過ちは素直に改める。 正しいと思うことは,勇気をもって行う。 正直に,明るい心で元気よく生活する。 礼儀の大切さを知り,だれに対しても真心をもって接する。 相手のことを思いやり,親切にする。 友達と互いに理解し,信頼し,助け合う。 約束や社会のきまりを守り,公徳心をもつ(以上道徳)。 地域・公共施設調査時の取材の約束(社会) 手紙・インタビュー・発表(国語) 情報機器の活用と健康(体育) |
小 ・ |
情報収集の手段を選択し,多くの情報の中から必要な情報を集める(調べ学習など)。 考えたことや思いをわかりやすく伝えるために,機器の特性を生かしてまとめる(新聞作りなど)。 目的にあったメディアを選択して,わかりやすく情報を伝える(発表など)。 ネットワークを利用する場合のルールやマナーを身につける。 自分の発信した情報に責任を持つ。 相手の状況を踏まえて,情報を発信する。 個人情報の保護に配慮して情報発信することができる。 人権に配慮して情報発信をすることができる。 知的所有権を尊重する。 情報の中にはモラルに反するものがあることを知り,適切な行動ができる。 著作権に気をつけよう 引用と複製 ウィルスに気をつけよう スパイウェアに気をつけよう メールの書き方と出し方 チェーンメール,スパムメール,ウィルスメール,架空請求への対応 不正確な情報への対応 |
情報の正誤を正しく判断する(判断)。 論理的にまちがっている説明に気づく(判断)。 理由や原因の記述が不十分であることに気づく(判断)。 写真や絵図と記述があっていないことに気づく(判断)。 多くの人に正確かつ,有効な情報を発信,伝達する(判断・技能・表現)。 集めた情報を元に新しい情報を作り出すことができる(表現)。 自分の考えを組み立てながら,適切な情報を選ぶことができる(判断)。 相手に効果的に伝わるように,順序を整えて表すことができる(判断・技能・表現)。 相手に伝えるために,メディアを使って効果的に資料を作成する(判断・技能・表現)。 相手の意見を理解して質疑応答ができる(判断・表現)。 伝えたいことに応じて表現の仕方を工夫する(判断・表現)。 他の人にわかりやすい表現方法を知る(理解)。 構造的に表すことができる (判断・表現)。 |
真理を大切にし,進んで新しいものを求め,工夫して生活をよりよくする。 時と場をわきまえて,礼儀正しく真心をもって接する。 だれに対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にする。 謙虚な心をもち,広い心で自分と異なる意見や立場を大切にする。 生命がかけがえのないものであることを知り,自他の生命を尊重する。 公徳心をもって法やきまりを守り,自他の権利を大切にし進んで義務を果たす。 だれに対しても差別をすることや偏見をもつことなく公正,公平にし,正義の実現に努める。 働くことの意義を理解し,社会に奉仕する喜びを知って公共のために役に立つことをする(以上道徳)。 調べ学習(国語・社会・理科) 通信・情報の利用(社会) |
小 学 校 ・ 高 学 年 |
情報収集の手段を選択し,多くの情報の中から必要な情報を集め,考えたことや思いを機器の特性を生かしてまとめ,メディアを選択して伝える。 知的所有権を理解して情報収集をする。 モラルに反する情報に対して批判的な対応ができる。 ネットワーク上に発信した自分の情報に責任を持つ。 情報モラルを理解し,自己責任でネットワークを利用できる。 情報化が社会や生活に及ぼす影響を知り,情報モラルの必要性について考える。 ネットワークの利用 誤った情報や不要な情報の送受信への配慮 知的所有権(複写,引用)の理解 インターネット上にある情報の真偽 携帯電話の必要性・使い方(マナー)・危険性 有害情報へのアクセス メールの利用,掲示板・チャットの利用(いじめ・中傷・誹謗) なりすましと自己責任 コンピュータウィルスとワクチン(アンチウィルス)ソフト 不正アクセスと匿名性 ネット上での個人情報(懸賞応募・商品購入) |
第三者への影響を考えて情報を扱ったり,情報機器を利用したりする(態度・技能)。 収集した情報の確かさについて,客観的・多面的に考える(判断)。 第三者を意識して,情報機器を活用した情報発信ができる(態度・技能)。 情報機器の有用性や危険性を知って,特性を生かした正しい使い方ができる(知識・理解・判断)。 有用な情報を整理・編集して,誤解を与えないように配慮して発信しようとする(意欲・判断)。 |
より高い目標を目指し,希望と勇気をもって着実にやり抜く強い意志をもつ。 自律の精神を重んじ,自主的に考え,誠実に実行してその結果に責任をもつ。 真理を愛し,真実を求め,理想の実現を目指して自己の人生を切り拓いていく。 礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとる。 温かい人間愛の精神を深め,他の人々に対し感謝と思いやりの心をもつ。 それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解して,謙虚に他に学ぶ広い心をもつ。 自己が属する様々な集団の意義についての理解を深め,役割と責任を自覚し集団生活の向上に努める。 法やきまりの意義を理解し,遵守するとともに,自他の権利を重んじ義務を確実に果たして,社会の秩序と規律を高めるように努める。 公徳心及び社会連帯の自覚を高め,よりよい社会の実現に努める。 正義を重んじ,だれに対しても公正,公平にし,差別や偏見のない社会の実現に努める(以上道徳)。 郷土について調べよう・調べ学習(社会,理科,英語,総合的な学習の時間) 他校とのテレビ会議(社会,理科,総合的な学習の時間) 博物館の学芸員や海外の中学生等とのテレビ会議(社会,理科,英語,総合的な学習の時間) |
中 学 校 |
情報収集の手段を選択し,多くの情報の中から正確で必要な情報を集め,考えたことや思いを社会的な影響を考慮して,機器の特性を生かしてまとめ,適切なメディアを選択して伝える。 情報発信における自己責任 自分の意見を相手にわかるように発信できる 相手を尊重する態度を身につける 個人情報の管理責任 紙媒体と電子情報 情報の完全な消去 BIOSでのパスワード 暗号化 OS,アプリケーションのセキュリティ修正プログラム ファイル交換ソフト ファイヤーウォール 掲示板・チャット・メールの利用 携帯電話の利用 著作権(許諾と例外措置) |
社会的な影響に配慮して情報を扱ったり,情報機器を利用したりする(態度・技能)。 収集した情報の確かさについて,分析的・批判的に考える(判断)。 社会に与える影響を考えて,情報機器を活用した情報発信ができる(態度・技能)。 情報機器の有用性や加害者になってしまうことがあるという危険性を知って,特性を生かした正しい使い方ができる(知識・理解・判断)。 有用な情報を整理・編集して,相手にとっても有意義な情報をつくり,誤解を与えないように配慮して発信しようとする(意欲・判断)。 |
自分の考えをもって論理的に意見を述べたり,相手の考えを尊重して話し合ったりすること。情報を収集,整理し,正確かつ簡潔に伝える文章にまとめること。目的や場に応じて,言葉遣いや文体など表現を工夫して話したり書いたりすること。様々な表現についてその効果を吟味し,自分の表現や推敲(こう)に役立てること。(国語) 調べ学習,ワープロソフトを使ったレポート作成,観察・実験・実習等の計測・制御,メールによる調査依頼,ホームページ作成,プレゼンテーション,テレビ会議等(地歴公民,理科,英語等) |
高 等 学 校 |
「3.扱う内容について」の「現在実施されている情報教育の改善と小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育にとって考慮すべき事項」のうち,「G…情報モラル教育を一部の教師に任せるのではなく,どの教師も適切に,体験を通しながら実施していくことが大切である。」「K携帯電話の操作やウェブサイトの閲覧・利用,携帯端末を利用した決済等,児童生徒の知識・技能が教師を上回っている場合がある…」については,教員の指導をサポートする仕組みが必要である。これまで述べてきたように情報モラル教育の指導は,教科「情報」や技術・家庭科,総合的な学習の時間だけでなく,「朝の会」や「帰りの会」等にも実施したり,道徳・教科等との関連を図って実施されたりしている。また,携帯電話の操作やウェブサイトの閲覧・利用,携帯端末を利用した決済等,ハード面やソフト面,サービス体制の進歩はめざましく,これらに対応した様々な情報モラル教育の実践が行われている。さらに,教師の実態調査からは教職経験が少ない教師ほど情報モラル教育の研修を進めなくてはならないことがわかっており,教職経験が少ない教師が参考にできる実践事例の提供が必要である。実践事例は小学校・中学校・高等学校・特殊教育学校でも行われており,他の学校や校種の異なる学校の実践が参考にできる仕組みを開発する必要がある。
本県では教職3年目の教師に研修を実施しており,3年目研修には情報教育を位置づけ,情報教育研修の一部で情報モラル教育を扱っている。そこで,「他の学校や校種の異なる学校の実践が参考にできる仕組み」の開発にあたって,3年目研修における情報モラル教育に活用できるようシステム開発を行った。このシステムは,研修の一部として組み込み,受講者が登録・閲覧できるようにした。3年目研修では受講者の所属校での情報モラル教育の実践が義務付けられており,所属校の管理職または研修の指導者,情報教育担当などの指導の下で実施される。3年目研修における実践とシステムへの登録・公開の手順を表2に示す。
表2
1学期 |
夏期休業 |
2学期 |
3学期 |
3年目の教師が各学校で情報モラルにかかわる実践を行う。 実践事例は管理職の指導のもとで行う。 |
総合教育センターで情報モラル教育の研修を受講する。 1学期の実践を持ち寄って研修する。 |
情報モラルにかかわる実践を行い,システムに登録する。 登録事例は管理職の指導のもとで行った実践である。 |
登録された実践を総合教育センターでチェックし,公開する。 公開した事例を各学校での実践に役立てる。 |
システムは岐阜県総合教育センターのサーバに設置し,情報モラル指導事例Webページ(図25)として公開した。情報モラル指導事例Webページは岐阜県総合教育センターの教員研修のWebページからリンクを張り,受講者が利用しやすいようにした。閲覧画面では,タイトル一覧の他,校種,学年,教科,キーワードによる絞り込み検索を準備した。
指導事例の登録はWeb上から行う。登録者にはID,PW(パスワード)を発行しており,3年目研修受講者には自動的にID,PWが発行される。事例登録を希望する教師にもID,PWを発行しており,その登録手順をWeb上に掲載した(図26)。登録者は登録画面から事例の登録・修正・削除をすることができる。
登録者はあらかじめダウンロードした書式(図27)に従って,指導事例を記入して実践をおこない,実践後,修正・改善し,「学習者の反応・学習者からの質問」「成果」等を記入し,管理職等の指導を受けてから登録画面に登録する。指導事例の登録書式の登録項目は次のものを設けた。
登録画面には,テキスト入力の他,ファイルを添付でき,写真,画像,表等を登録・表示できるようにした。
登録された事例は,登録者による登録後すぐに公開されることはない。管理者(総合教育センターの研修講座担当者)により,キーワードや内容等のチェック後,公開される。個人情報や肖像権に関わる項目もこのときチェックされる。岐阜県総合教育センターWebページは,情報モラル指導事例の他,情報モラルに係る研修や情報モラルに関する教材や資料等が提供されており,現場教師がこのWebを利用して情報モラル教育を進める手助けになるよう作られている(図28)。
記入者,タイトル(表題),概要(250字以内),キーワード,校種,学年,教科など(教科名,総合的な学習の時間,道徳,特別活動,学年集会,全校集会,朝の会,帰りの会,PTA集会など),実施校等,実施態様,授業展開の基本的な考え方(体験できる場の想定など),学習目標,メディアの利用環境(使用メディア,利用サイトなど),クラスの状況,学習展開,学習活動の実際,学習者の反応・学習者からの質問,学習評価の方法とその結果,授業の成果,備考 |
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このようにして登録された中学校・高等学校141事例の内訳は,総合的な学習の時間19%,朝の会・帰りの会13%,ロングホームルーム11%,国語7%,学級活動6%,社会科6%,道徳6%…であった。また,教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間,課外の割合では,教科33%,特別活動26%,総合的な学習の時間19%,課外16%,道徳6%であった(図29)。1時間(50分間)の授業で情報モラルを扱うだけでなく,朝の会・帰りの会などの20分間程度の時間で情報モラル教育を行っている学校もあることがわかった。
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我々は2年間の研究で,次のことを行った。
@情報モラルに関わる中学校と高等学校用の実態調査の項目を決定し,調査を行った。
A情報モラルに関わる高等学校の調査結果を分析し,小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育のためのデータとして蓄積した。
B調査を行った高等学校では,調査結果を基に2学期より1年生に対する情報モラルの指導を行った。
C県教育委員会が実施・公表した小中学校教師の実態調査,高等学校・特殊教育学校教師の実態調査結果を分析し,児童生徒の実態調査の分析等から,情報モラル教育において考慮すべき事項を洗い出した。
D実施されている情報モラル教育で扱うべき内容等を盛り込んだ小・中・高等学校一貫した指導計画を作成した。
E小・中・高等学校一貫した指導計画に基づいた授業実践に必要な実践事例を登録・閲覧するシステムを開発し,情報モラル指導事例Webページを公開した。
F県教育委員会の研修講座と連携して,受講者を中心に実践事例を登録し,登録された事例を講座や現場での実践に活用した。
上記の結果,小・中・高等学校一貫した指導計画に基づいた実践を始めた学校では,指導しなくてはならない内容が明らかになるとともに,授業実践を行うための教材や指導事例が不足していることが課題となっている。特に,メディアリテラシーに関わる教材や研修が必要であることがわかってきた。また,道徳・教科等との関連では,情報モラル教育の時間数を単に増やすのではなく,情報モラル教育に関わる道徳・教科等の内容とつないで指導できるよう情報モラル教育・道徳・教科等の授業展開等を工夫する必要があり,情報モラル指導事例の収集をさらに増やしていく必要がある。
情報モラル指導事例Webページの活用では,教職経験の少ない3年目の教師による活用が進んでいる。指導事例の登録にあたっては,研修講座との連携を図ることで,研修の充実と指導事例の蓄積・利用が同時に達成されている。しかし,収集が進むにつれて同種の実践が増え,検索しにくくなることが予想され,指導事例の整理・削除の方法を検討していく必要がある。
今後,以下のことを実施する予定である。
@小・中・高等学校一貫した指導計画に基づいた実践を始めており,道徳・教科等との関連と教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間・課外への位置づけを明確にするための研究を2年計画で実施する。
A情報モラルの体系的な指導のための指導計画とリンクした実践事例の効果的な提示方法の検討とシステムの開発を行う。
B同種の指導事例の整理・削除の方法を検討し,指導事例の効率的な検索システムに改善する。
今回の研究で小・中・高等学校一貫した情報モラル教育の指導計画を作成し,指導計画に基づいた実践を進めるとともに情報モラル指導事例Webページを開発できた。研究の機会を与えていただけた上月スポーツ・教育財団に感謝申し上げます。
笠原 康弘 (岐阜市教育委員会 /副主査)
岩田 諦慧 (輪之内町教育委員会/主任指導主事)
宇野 芳彦 (大垣市立日新小学校/教諭)
埴岡 靖司 (山県市立富岡小学校/教諭)
若曽根隆彦 (本巣市立糸貫中学校/教諭)
安藤 忠展 (岐阜大附属中学校 /教諭)
亀山 弘 (県立羽島高等学校 /教諭)
研究助言者
服部 晃 (岐阜女子大学/教授)
中馬 悟朗 (福井大学 /教授)
小山 徹 (岐阜県総合教育センター/総合教育センター長)
村瀬康一郎 (岐阜大学 /教授)
加藤 直樹 (岐阜大学 /教授)
益子 典文 (岐阜大学 /助教授)
興戸 律子 (岐阜大学 /助手)
実施場所
岐阜県総合教育センター,研究協力校
参考資料
文部科学省(1998),小学校学習指導要領
文部科学省(1998),中学校学習指導要領
文部科学省(1998),高等学校学習指導要領
山梨県総合教育センター(2001),情報化の影に対応した総合単元的道徳学習の研究 –情報モラルの育成をめざす指導モデルの開発-,平成13年度研究紀要
宝塚市立教育総合センター(2003),情報モラルをふまえた情報教育カリキュラム,平成15年度研究紀要
岐阜県安八郡輪之内町教育委員会,小中一貫した情報教育推進のための情報活用能力段階表
兵庫県立教育研究所(2003),教職員の情報モラルに関する実態調査の分析と研修用コンテンツの開発,研究紀要
広島県立教育センター(2003),学校教育における携帯電話・PHSの利用に関する研究 –授業における活用と情報モラルの指導-,研究紀要第30号
岐阜県教育委員会(2004),情報モラル等に関するアンケートについて
黒上晴男(2004),情報教育のカリキュラムと評価をどうするか,学習情報研究
岩田諦慧(2004),小学校におけるカリキュラムと評価2,学習情報研究
文部科学省(2004),児童生徒の問題行動対策重点プログラム(最終まとめ)
火曜の会,情報教育カリキュラム, http://kayoo.org/home/index.html
島田佳幸,小学校教師のための情報モラル指導のてびき,
http://www.eonet.ne.jp/~sima/home333/tebikinew.html
埼玉県教育委員会(2005),「情報モラル教育」指導資料 〜教員のための指導資料〜
岡山県情報教育センター(2005),情報セキュリティ研修テキスト
岐阜県総合教育センター(2005),情報教育研修講座テキスト