2.研究の目的と方法

 本校の「ドラマ科」には、大きく分けてドラマに関する学力と、ホーリークロス校との共同授業を
行うための学力の2種類がある。前者の学力は、表情表現力、身体表現力、なりきり力、即興的表現力、
他社理解力などである。本研究の目的は、後者で目指す学力と情報教育との関わり方を探ることにある。
そこで、後者の学力を次の4つに設定した。

 (1) 同年代異文化間の共同学習の場における、生徒の「異文化理解力」

 (2) 共同意志決定の場における建設的妥協を伴う「プロジェクト学習の企画実践力」

 (3)「異文化理解」「プロジェクト学習の企画実践」を進めるための「メディアミックス活用力」

 (4) 「異文化理解」「プロジェクト学習の企画実践」を進めるための「英語によるコミュニケーション力」

そして、ホーリークロス校と、マルチメディア通信を用いたドラマの国際共同授業を行うことで、この
4つの学力の育成を図った。さらに、これらの21世紀の国際社会の場で必要とされるであろう学力が
情報教育の目標である「情報活用の実践力」「情報の科学的理解」「情報社会に参画する態度」の育成
に大きく関わっていることを、生徒の活動の様子や学びによる変容から考察していきたい。

 また、本校のこれまでの実践研究で、交流を学習活動のメインにすると「探究」から「表現」への学習
過程に「相互啓発」という要素が加わり、自分を振り返る機会が増え、探究した内容が表現に一層生かさ
れることが観察されている。このことからも、国際共同学習における交流の場を通して研究を進めること
が極めて有効と考えた。

研究方法は以下の通りである。

(1) 両校の生徒は日常のドラマの授業で表情表現やキャラクター作り等を学んでいる。
 両校の生徒が互いの国の文化を理解しながら伝え合いたいと考える表情表現や
 キャラクターの設定について、メディアミックスを活用して効果的に伝える方法
 や手段を発見する様子を観察し、異文化理解力の育成と「情報活用の実践力」、
 「情報の科学的理解」、「情報社会に参画する態度」の育成との関わりについて
 考察する。

(2) 両校の生徒が、国際共同学習における打ち合わせ、授業の進行や評価会を、
 互いの状況や立場を理解し合いながら目的に添って円滑に進めるためにメディ
 アミックスを効果的に活用する様子を観察し、「プロジェクト学習の企画実践力」
 の育成と「情報活用の実践力」、「情報の科学的理解」、「情報社会に参画する
 態度」の育成との関わりについて考察する。

(3)本校の生徒が中学生の英語でホーリークロス校の生徒とコミュニケーションの場を
 もつ時に、メディアをどのように工夫して活用するかを観察し「英語によるコミュ
 ニケーション力」の育成と「情報活用の実践力」、「情報の科学的理解」、「情報
 社会に参画する態度」の育成との関わりについて考察する。