本校では平成7年度からインターネットが使える環境が整った。その中で平成8年度より音楽科の選択授業で「インターネットを活用したMIDIコラボレーション」を実践した。また、平成9年度からその実践を発展させ、イギリスの姉妹校「ホーリークロス、コンベントスクール(以下、ホーリークロス校と記す)」との間においてインターネットでの交流に加えてテレビ会議システムなどのさまざまな通信手段を活用した「異文化間ドラマコラボレーション」を行った。この実践は「ドラマの共同上演」という共同学習を目指したプロジェクト型国際共同学習で、総合的な学習の試行として行われた。
この学習では、生徒のドラマの共同上演を目的とした、同年齢異文化間の交流の場における生徒の「異文化理解力」と、共同意志決定の場における建設的妥協を伴う「プロジェクト学習の企画実践力」、そして、交流の手段として用いられるさまざまなメディアを活用することによる情報活用の実践力、情報の科学的な理解および情報社会に参画する態度の育成を柱とする「メディアミックス活用力」の3つの学力の育成方法を開発することを目的としていた。また、本校では平成12年度より文部科学省より研究開発学校の指定を受け、「ドラマ科」を教科として位置づけた。そして試行的な授業を積み重ねながら現在もドラマ科のカリキュラムの開発に取り組んでいる。
本校のドラマ科のカリキュラムは、ドラマを正規の授業として採用しているホーリークロス校のカリキュラムを参考として構想されたため、テレビ会議システムを始めとするマルチメディア通信による共同授業は不可欠であった。メディアを活用したホーリークロス校との共同授業を行い、指導と評価の場面を共有する効果的な方法を探ることで、本校独自の情報教育に支えられたドラマ科のカリキュラム作りをめざしている。
本研究実践は、本校のこれまでの研究実践の成果を踏まえながら継続しているものである。生徒に日々発達し多様化する情報機器の特性を科学的に理解させ、ホーリークロス校との国際共同授業における異文化間コミュニケーションの中で正しく活用する方法に気づかせながら、情報教育でめざす学力がこのような異文化間交流の中で行われるドラマ科の授業でめざす学力をどのように支え、どのような教育的効果をもたらすかを、生徒の変容から考察することを目的としている。 |