本プロジェクトは、コンピュータおよびネットワークを活用して生徒のプレゼンテーション能力を育成することと、情報コミュニケーション能力を育むことを目的とし、教科横断的な取り組みを実施し、「調べて」「まとめて」「伝えよう」という一連の学習活動を展開したものである。
世界の食文化を紹介しながら、日本の伝統的な食文化と現代の食文化を比較検討し、食糧問題や環境問題に関する意識を高めるWeb教材を提供すると同時に、生徒に「我が家の自慢料理」を紹介するコンテンツ作成課題を与えた。
学習活動は、家庭科・保健体育・英語等と教科横断的な連携をとりながら、調査・取材、プレゼンテーション作成にインターネットを活用する一方、学校間交流の一環としてWebページを利用した「我が家の自慢料理」プレゼンテーション作品の相互評価を行うシステムを用いた。
生徒のコンテンツは英語科の教員との協調によって英語版でも発信し、国内外の学校との交流を実現した。

コミュニケーションの道具・調べ学習の道具・課題作成の道具・発表の道具・情報発信や交流の道具としてコンピュータやネットワークを活用する一方、「我が家の自慢料理」の英語版作成のためのデータベース「みんなで作る英単語帳」への登録を通し、データベースの概念と情報の共有について学ぶ機会を設けた。
また、インターネット上のデータベースの活用を促すと同時に、生徒自身にデータ蓄積に関わる体験を織り交ぜる工夫を施した。

調査・取材、プレゼンテーション作成にインターネットを活用するにとどまらず、学校間交流の一環としてWebページを利用した作品の相互評価を行う場を提供し、2000年度は3校、2001年度は6校が参加し1200名を超える規模での「我が家の自慢料理コンテスト」が開かれた。
各参加校でエントリー作品を選出し、Web上に構築した投票システムを用いて各校の代表作品を決定した。
最終審査は会場校にてプレゼンテーションを行い、家庭科調理室で実際に調理をして総合評価する。
料理研究家の方に講評をお願いし、専門的な立場からのアドバイスを受ける機会を設けている。

コンテスト当日は、対面形式での交流の場となり、ネットワーク上だけの交流とはまた異なった交流が実現する。
そこでは文字情報だけでは伝えきれない、「思いを伝える活動」がいきいきと展開する。情報活用能力・情報編集能力・情報コミュニケーション能力の育成は、決して単一教科によって実現するものではない。
プロジェクトを遂行する中では、情報倫理教育の必要性を強く感じながら試行錯誤を重ねて来たが、21世紀を担う若者の「生きる力」を育てる上でも、こうした日々の生活場面の中に題材を求めた教材を開発し、情報を共有する喜びを感じとりながら高度情報社会における役割と責任を正しく認識できる教育を目指さなければならない。

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