VI.ネットワーク構築過程における,これまでの成果と課題
「パソコンタイム」を実施して5年間が経過した。また総合的な学習や教科学習において,情報活用能力についても以下の点で,成果が上がっていると考えている。
- パソコンタイム(3年生のスライドショー)の実践において,共同製作者と身近な他者の区別がはっきりし,行動制作者同士では葛藤が生じるが,身近な他者からの意見の場合は客観的な評価として受け止め,作品をよりよくしようとする態度が見られるようになった。
- Web検索においては,プリントアウトさせないことにより自分の言葉で内容をまとめるようになった。(検索エンジンを使って調べる際,プリントしてしまうと調べた気になってしまっていた。)
- 課題に対応する情報を取捨選択できるようになった。(課題を具現化し,情報を抽出していく力や多様なメディアを利活用する能力が向上したと言える。さらにパソコンは必要なときに使える普通の道具になっている。)
- 調査内容をまとめ,Webづくりを行いメール等で他者からの評価を受けることで,他者に伝える工夫を凝らすようになった。(中間発表を行ったことにより,より考えをはっきり伝えるよう努力するようになった。)
- 交流校との対等な交流実施。どこでもが核となれる交流が進んだ。(ヒューマンネットワークの構築が前進)
上記の成果と同時に、これから情報教育を進めていく上で以下の課題もあげられる。
- 実践事例を教育課程への位置づけていく。(実践者が変わっても受け継がれ実施される体制作り)
- ・情報活用能力の向上や状況をみ取り、補完する日常評価のあり方の研究
さらに新たな課題としてあげられることのひとつに,3・4年生までに獲得したリテラシーを高学年においてどのように生かしていくことがよいのかということがある。現段階では,高学年生が教科や総合学習の中で,ヒューマンネットワークの構築をめざした活動を通して,学習における学校のオープン化を進めることになっていくことを意識したい。
本稿で紹介したような活動(事例)を,学習計画の中にどのように位置づけていくか,子どもとともに教師が考えていかなければならない時期にきていると考えている。
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