V.教科の中での具体的実践事例
(1)無線LANを使った学習活動
昨年度実施した無線LANを活用した6年生の社会科の実践について具体的に報告する。
○小単元名 「天下統一のゆくえ」
○小単元について
本小単元では,戦国時代から武士による天下統一に至る過程を,郷土の名将「武田信玄」,そして信長,秀吉ら3人の人物の働きを中心に取り上げ,追究させていくことにした。
○情報機器の取り扱いについて
今回は,無線LAN機器としては次のものを使用している。
また教室には,以下の機器を設置した。
教科書等の挿し絵を拡大表示するため,書画台と33インチTVモニタを使用する。また,TVゲーム機器の表示用としてもモニタを使用する。児童用ノート型コンピュータは,グループ(生活班)に1台ずつ渡し,電子メールに書かれたURLをコピー&ペーストして,Webページを検索させ,フォーマットされたワープロファイルを使って,新聞づくりを行い,校内のデータサーバに保存するようにしている。これらのノート型コンピュータは廊下に設置された無線LAN基地局(アクセスポイント)を介して校内LAN及びインターネット接続できるようになっている。<図15>
○実際の授業の様子
<1>日時:平成12年6月23日(金) 1〜2校時(8:55〜10:20)
○無線LAN使用端末との接続状況
接続テストは,手動設定により実施しなければならないが,子どもたちの手でも実施することはできた。(不便さは感じられる。)<図16>
○実践を終えて
今回の実践では,教室内でノート型コンピュータを利用して学習活動を行うメリットとして以下の点が確認できた。
(2)ホームページを活用した学習活動
昨年度実施した天気情報のホームページを活用した5年生の理科の実践について,具体的に報告する。
○単元名 「天気の変化(2)」
子どもは,「天気の変化(1)」で春の頃の天気の規則性(「雲は西から東に動く」等)について学んできている。またその規則性をもとに気象衛星「ひまわり」の雲画像やアメダスの雨量データなどの気象情報を活用して天気を予想することも経験してきて,秋の頃の天気の変化を調べたりして,その規いる。
○単元目標
コンピュータ・ネットワークなどの情報を活用し,天気の変化を調べることができるようにする。
○成果と課題
理科の領域区分でいうC領域「地球と宇宙」,中でも気象教材や天体教材は直接観察や実験が非常に困難である。これらの学習において,情報機器,特にコンピュータを使って雲や天体の動きを視覚的に捉えられるようにすることは,大変有効である。
(3)Web/E-mail/テレビ会議を用いた学習活動
昨年度本校6学年で実施した,パソコンタイム」で培ったリテラシーを「総合的な学習の時間」で活かす様子について,具体的に報告する。主な活動として
a 自己紹介ホームページを作成し,それを通じて他校と交流をする活動。
以下に,それぞれの活動の概要を記す。
○実践の概要
a 自己紹介ホームページを作成し,それを通じて他校と交流をする活動について。
(1)こんにちは,○○○○です。 メールを送らせていただきます。私は□□さんのグループに興味を持ちました。実は私も社会問題を中心とした活動をしています。もしよかったら私の資料集めに協力して下さい。待っています。お返事まっています。では,さようなら・・・・ (2)こんにちは。はじめまして,『○○○○』です。 □さん,△さん,●さん,■くんこれからも,よろしくお願いします。私たちも,環境のことについて調べています。私たちのグループは,《□□と,○○と,わたしで,やっています。私たちは,ごみ0運動のほかに,リサイクル運動をやっています。これからもよろしくお願いします。お返事待っています!! (^o^) (3)○○さんへ □□です。 あれから,地域の名物を調べてみました。まず,北海道です。ここは,じゃがいも,牛乳などの乳製品,かに,たまねぎなどです。青森は,りんごです。岩手は,わんこそば,米,りんご,牛乳などの乳製品,さけ,わかめなどです。宮城は,米ぐらいだと思います。秋田は,りんご,きりたんぽ,米,めろん,はたはた,ふきなどです。山形は,さくらんぼ,りんご,米,かき,ぶどう,さんさい,米沢牛,西洋なし,すいかなどです。時間がないので,また,メール送りマース。 返事,待ってまーす! このように,お互いの学校で興味をもった内容について,それぞれが意見や調査結果を交流した。
5年生の時に,学年全体で宮城教育大学附属小学校の5年生とテレビ会議での交流活動をした。子どもたちは初めての経験ということ,大人数であったこと,お互いの活動の接点が見つけにくかったことなどの原因で,決して十分な成果が上がったとは言えなかった。
子どもたちが学習を通して学んだことを目に見える形で表すことに取り組ませ,さらにそれを周りの人に見てもらい,意見交流の場を設定した。具体的には,本校児童が学習したことをWeb化し〈図20〉,それに対する意見を求めその意見を元にさらに交流し,しかもその交流の様子をそのWeb上に紹介していくこととした。 (1)少年法の事について 私達は少年犯罪のホームページを見て,私達も,日ごろのストレスが原因で,犯罪をする人がいるのではないのかなあと思います。なぜなら,私達もストレスがたまってムシャクシャすると,物や人にあたったりするから,犯罪をした人達も同じなんじゃないかなと思いました。私たちは,今の少年法は,おかしいと思います。少年が守られていて大人と同じ罪にならないのなら,少年だけの,大人より少し軽い罰を,作ればいいんじゃないかと思います。 (少年法を見直してほしいと思います。) (2)ホームページの感想 「ストレスだけで犯罪をおかしたわけじゃない」というまとめが書いてありましたが,私たちも賛成です。ストレスの他にも,環境の変化や,人とのかかわりでのトラブルみたいなもので,おかしたような気がしました。少年犯罪が,このごろ続発しているけど,絶対やめたほうがいいのはあたりまえだけど,やってしまうのはきっと何かあったんだと思うから,カウンセラーみたいなもので,気持ちを聞いてあげればいいのかなとも思いました。もし,すごいストレスとかで犯罪をおかしたとしたらちょっとその人が ![]() 少年法についての意見です。子どもでも,犯罪をおかしたのに,罰せられないのはおかしいと思う。『子どもは,守られている。』でも,守られているなら,守られているなりに,きちんとした,罰みたいなものを,きちんと受けなければならないと思う。
悪いことをしたのは,やったひとも分かっているはずだから,罰したほうがいいと思う。子どもは子どもでも,悪いことは,悪いことだから,怒るときは怒らなければいけないと思う。(罰を受けさせるべきだと思う。) 罰は,受けたほうがいいけど,少し,大人より罰を軽くすればいいと思う。
交流をしている過程で,話題となっていた「少年法」の改正が国会で決まったことなどもあり,議論は大いに高まった。(図21)
子どもたちが,パソコンタイムなどを通して培ってきたコンピュータ・リテラシーを,これらのように教科・総合学習などで多用に活用し,しかも,そのことで普段接することができない地域の子どもたちとともに学ぶことができることは,その活動を仕組んできたものにとっても大変喜ばしいことである。交流を通して、考えを発信し、議論し、修正していく過程を体験しながら、自分の考えを高めたり、他人を認める態度が高まったと言える。子どもたちが十分に活用できるツールとしてのコンピュータの有用性を改めて感じる実践となった。
(4)サークル型交流を実現した学習活動
本校では,交流活動は一つの学校が活動のすべての中核となるのではなく,互いに必要な学習活動を保障し合いながら進めて交流することが望ましいと考えている。<図22>。
時間をおいたり,場所を移したりすることなく,各地の様子について問題解決している子どもたちの姿がみられるようになってきた。
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